その他診療について
虫歯、歯周病、歯の根の治療、入れ歯など歯科一般の治療
当院では基本的には痛くない、削らない、抜かない治療を積極的に選択します。
もちろん痛くないといっても全く無痛であるということは生体を対象とする限りにおいて不可能であります。痛みがあったとしてもその痛みを最小限にするということです。
また、削らないといってもどんな虫歯も削らないで治療するということではなく、削る必要がある場合は切削量を最小限にできる治療法を選択するということです。抜かない治療についてはどんな状態の歯も抜かないで治療することではなく、できるだけ歯の寿命を延命させることができる治療法を選択することです。
現在、歯科治療は日々進歩していますが、新しい方法がすべて良いということではなく患者さんの健康状態、希望、性格、経済状態、年齢、社会的地位、職業、性別、歯科医師の技術と思想等々によって総合的に判断されるものと考えています。患者さんが歯科医院を選択する場合、歯科医師の基本的なスタンスを十分理解しておくことは非常に大切なことと思われます。
たとえばかなり重傷な歯の根の治療をするとき、治療したとしても予後の予測がつきにくい状態の歯があったとします。いろいろな治療法が考えられます。
私なら、
「どこまで使えるか解りませんが、もしよろしければできるだけの治療をして延命させてみませんか。たとえ1年しか保たなくても短い人生の中でその1年が後で大きな違いになるのです。人生何があるか解りません。しかし、いつ悪くなるか予測がつかないような歯を残しておきたくないというのであれば延命治療はしないで抜きましょう。・・・・・・・」
というような会話が交わされるでしょう。
絶望的な歯でもできる限り延命させようと治療することこそ“抜かない治療”の意味するところであると考えています。
歯周病の治療においても歯と歯肉の隙間が5~6ミリ以上の深さであれば、学問的には外科的に治療しなければ完全に治療はできないと説明を受けるでしょう。
しかし長期的なビジョンで考えた場合、必ずしも外科手術を選択したからといってその歯の寿命が延命できるとは限りません。なぜなら外科手術が必要なほど歯周病が進行してしまった原因としては患者さんのブラッシング、生活習慣、食生活、性格、ストレス、健康状態、性別、職業等々様々な要因が考えられるからです。
疾病の治療は保険の規則や学問の原則通りに行うことがベストであるとは考えていません。歯と歯肉の隙間(歯周ポケット)が深ければ浅い患者さんより定期的なメインテナンスがより短い間隔で必要であるということであり家庭での自己管理もより徹底させる必要がある患者さんであると認識しています。もう抜くしかないと思っている歯でも本人が何とかしたいという気持ちがあれば延命できると考えています。
そこで当医院では歯周病の治療において歯を延命させるため徹底的な歯石除去、ブラッシング指導、プロフェッショナルな歯のクリーニングはもちろんのこと、家庭での一日のタイムスケジュールに組み込んだ家庭療法の具体的な指導(食生活、ブラッシングの時期、安静時唾液の確保法、ストレスの回避法、自律神経の乱れを整える方法、免疫力を上げる方法、正しい睡眠のとり方等々・・)、ハードレーザー治療、ソフトレーザー治療、高周波治療、イオン導入器による治療、薬物療法、コンピューターによる咬合分析に基づいた咬合調整並びに補綴(銀歯、セラミックの白い歯のブリッジ、連結冠、入れ歯の延命のための設計)等々ありとあらゆる延命の方法を行います。患者さん本人があきらめたときが歯を抜くときであると考えています。入れ歯の設計においても快適性を重視させたいのか、それとも残っている歯の負担をできるだけ少なくし延命させたいのかによってかなりデザインが変わります。
すなわち入れ歯の大きさと維持装置が違ってきます。どちらを選択するかは最終的には患者さんの人生観により変わります。なぜなら、残りの歯を少しでも延命するために義歯の大きさを大きく設計して多少の違和感が増すことを我慢するのか、義歯を小さくして残りの歯に対する負担を増やし結果的に歯の寿命を短くしても快適な方がいいと考えるかは患者さんが選択すべきことであると考えているからです。
小児歯科は子供の乳歯並び幼若永久歯を対象とするため虫歯になりやすいことをふまえ、精神的・身体的発育にあわせた治療、また永久歯の正常な歯並び・顎・顔貌の発育を十分に考慮した治療を心がけています。
小児の治療は無痛であるだけでは成功しません。一番の課題は恐怖心の克服と考えています。
そこで当医院では必ずステップを踏んで段階的に治療を行うようにしています。
まず初診の時は本格的な治療は行わず応急処置にとどめ、医院の雰囲気や治療器具に馴染んでもらうことから始めます。
小児本人の緊張と恐怖心の緩和に重点を置き、治療は痛みがなく医院は安全で恐ろしいところではないということを認識してもらえるように最大限の努力をいたします。ここで心を通わすことができれば第一関門はクリアです。
このステップは治療を成功に導くためにはとても大切ですので1回でできない恐怖心の強い小児については何回でも繰り返し来院して練習してもらいます。また、小児の治療では時間的な問題があります。小児の場合、治療時間が長いと集中力がなくなり治療に対して非協力的になるので1回の治療時間はなるべく短くするようにしています。
第1ステップの恐怖心と緊張の緩和が成功したら、第2ステップとして本格的に歯科治療に入ります。
当医院では治療に先立って恐怖心と緊張のさらなる緩和の目的で鼻から笑気ガスを吸引(笑気吸入鎮静法)してもらいます。このガスは副作用もなくきわめて安全で、リラックスした状態で痛みの少ない治療が行えるだけではなく、嘔吐反射を抑える効果もあるのでかなり楽に治療ができます。その上、ある程度の健忘効果も期待できるので治療中に多少のいやなことがあってもあまり記憶に残らず次回の来院時にも歯科治療に対していいイメージを持っていることが多く、回数を重ねるほど笑気の効果もあがってきます。治療にくるのがますます楽しくなります。また治療が上手にできたらよく褒めるということも非常に大切であると思います。
その他に精神の発育途上にある小児の治療においては、拘束して強制的に治療することは精神発達上良くない(トラウマになる)ので当医院では緊急を要することがなければ行わないようにしています。当医院は子供の人権を大切にしています。
歯科治療が終了した小児については虫歯の再発防止のため徹底的な予防に取り組んで参ります。具体的には定期的な検診(3ヶ月ごと)とブラッシング指導、フッ素塗布、成長発育を考慮した食生活、生活習慣の指導、歯列不正のない正常な永久歯の歯並び並びにしっかりした顔貌と顎の成長を確保するための咬合育成管理を行います。
また、矯正が必要な場合はかなり早期から床矯正を用いて対応していきます。床矯正は取り外しが可能で食事をしっかり取らなくてはならない成長発育途上の小児には非常に望ましい矯正法であると考えています。取り外しができる装置はブラッシングが非常にやりやすいので虫歯になりやすい乳歯や幼若永久歯を対象とする小児矯正には非常に向いていると考えています。非常に弱い力を用いているのでほとんど痛みがなく矯正治療を行えるのも特徴です。
小児の顔貌と顎の育成についても歯科医師の仕事として大変重要であると考えています。顎の発育については女の子の場合だいたい14歳(早い子供で12~13歳)まで、男の子に場合だいたい18歳ぐらいまでで発育が終わってしまいます。成人になって後悔しても手遅れであります。従ってそのような小児の成長発育を踏まえて指導管理していくことが小児歯科の治療をしていく上で必要不可欠であると考えています。
顔貌の発育に関しては顎の発育と密接に関連しています。口輪筋を始めとする表情筋を十分に発育させることは顔貌の問題に止まらず健康管理の上でも非常に大切であります。それは口輪筋の発育が不十分だと口呼吸の悪習慣につながるからです。最近は口をポカンと開けている子供が増えていますが、口呼吸は口の奥にある扁桃腺を乾燥させ免疫力を低下させるばかりか直接気管に空気中のウィルスを送り込むので風邪を引きやすくなります。口輪筋と顔貌の関連について具体的な例としては口輪筋の発育が不十分であると目の周りの筋肉(眼輪筋)が下に引っ張られ、結果的にたれ目になります。遺伝的な要因がなければ口輪筋を鍛えることで目が大きくなりたれ目が治ることも多々あります。
歯並びとの関連では成長発育期に口輪筋が弱く口が開いていると、上の前歯が舌に押されて出っ歯になることもあります。
当医院では口呼吸の改善のための家庭療法、口輪筋を鍛えるための装置を使った指導にも力を入れていますのでお気軽にご相談ください。
当医院にはレーザー治療器具として半導体レーザーのハードレーザーとソフトレーザー、初期虫歯診断のダイアグノデントを使用しています。主に、歯周病、知覚過敏、口内炎、歯肉の黒ずみ、切開手術等の治療に活用しています。ソフトレーザーとしての使い方は全く痛みがなく自然治癒力を活性化しすることにより知覚過敏、口内炎等を早期に改善できます。ハードレーザーとし使用する場合は主に麻酔を必要としますが、歯周病、切開等の治療では従来の電気メス等による切開と比較してかなり良好な予後が得られます。