小児だから出来る顎を育てる矯正歯科治療 album 220

今回の症例は、5歳の小児です。下の前歯がねじれて出て来たことを心配して来院した患者さんです。
乳歯列の時は反対咬合を除けば不正咬合に気が付くことは少ないと思います。5歳頃に下の前歯の永久歯が萌出してきます。この時期までに下顎が十分に発育して空隙歯列にならないお子様は、かなりの確率で下の前歯が凸凹(叢生)になります。かかりつけの先生から「様子を見ましょう」と言われましたが、心配で矯正相談で来院したとのことです。当院では、不正咬合に気が付いたらできるだけ早い時期からの矯正歯科治療を勧めています。その理由は、成長発育期の小児は適切な咬合誘導・咬合育成を行えば不正咬合の根本原因から改善する事が出来る可能性が高まるからです。成長発育が望めない成人歯科矯正治療においては、骨格的な問題が大きくなれば如何しても対処療法的な矯正治療を行わざる得ないのが現状です。そのようなときに何時も思うのは「時を戻したい」ということです。矯正歯科治療には、如何してもリスクが伴います。しかも、骨格的な問題が大きく重症な患者さんほどリスクは大きくなります。子供の時にしっかり咬合誘導・咬合育成を行い顎を育てておけば、それだけ矯正治療に伴うリスクを減らすことが出来ると考えています。より安全で負担が少ない矯正歯科治療を行うために、当院では顎を育てる矯正歯科治療を日々実践しています。
それでは実際の治療をご覧下さい。

適切な咬合誘導・咬合育成により小さな顎を大きく発育させることが出来ました。当院では、安定した歯並びを目指しておますので口腔周囲筋と舌の筋肉のバランスと鼻呼吸の習得がとても大切と考えています。その為、上顎は舌が正しい位置に納まるように大きく拡大し、舌を挙げるトレーニングとリップシールド(口唇閉鎖)のトレーニングを重点的に行います。口呼吸では正しい筋肉のバランスを得る事は出来ません。従って安定した歯並びも得る事は難しいと考えます。口腔筋機能療法(MFT)はとても大切です。異常嚥下癖も歯並びを乱す大きな原因です。当院では1期治療で十分な顎の大きさを確保できた患者さんは、筋機能矯正装置を用いて正しい舌のポジションの習得と正しい嚥下が出来るように指導しています。この事により、2期治療が不必要になる患者さんもいらっしゃいます。また、仕上げの矯正歯科治療が必要になったとしても、負担とリスクが少ない矯正歯科治療が出来る可能性が高まると考えています。
それでは実際の治療経過をご覧下さい。

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初診時はかなり小さな顎でしたが、非抜歯で永久歯を並べる事が出来る顎の大きさを確保することが出来ました。これから萌出する永久歯の犬歯のスペースも十分にありますので、八重歯になるリスクは回避できると思われます。

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初診時はかなり小さな顎でしたが、非抜歯で永久歯を並べる事が出来る顎の大きさを確保することが出来ました。

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初診時はかなり小さな顎でしたが、非抜歯で永久歯を並べる事が出来る顎の大きさを確保することが出来ました。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

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