小児の受け口(反対咬合)治療後は、リテーナーが大切 album 224

今回の症例は、受け口を気にして来院した小学校1年生の小児です。かかりつけの先生から「乳歯が生えかわる時に反対のかみ合わせが改善する事もあるので様子を見るように」と言われたが、心配なので見て欲しいという事です。確かに、乳歯の反対咬合は永久歯の前歯が生えかわる時に自然に改善する事があります。そこで、上顎の前歯が萌出したときに改善が見られなかった時は治療を開始する事で合意して頂きました。それから何もせず1年ほど様子を見ましたが、前歯の反対のかみ合わせは改善しませんでしたので治療を開始することにしました。1期治療開始して、1年ほどで前歯4本のかみ合わせは改善しました。その後、かみ合わせが後戻りしないようにリテーナーを作りました。しかし、リテーナーを使用する時間が短くて右上の側切歯のかみ合わせが反対に成りました。その後、舌側から歯を押し出すスプリングを付けたリテーナーに変更し使用時間を増やして改善を試みました。しかし、如何しても長時間リテーナーを使用する事が出来ず改善は見られませんでした。最終的には全ての乳歯が抜け永久歯列になってから、2期治療を勧めましたがその希望はなく治療を終了することに致しました。

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乳歯と永久歯が混在している時期に行う1期治療後は、リテーナーを使用して継続した咬合誘導・咬合育成がとても大切です。しかし、リテーナーは取り外しが可能ですので使用時間が短ければその効果は期待出来ません。

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1期治療により反対のかみ合わせは改善しましたが、その後リテーナーの使用時間が短いため右上の側切歯のかみ合わせが反対になってきました。リテーナーは長時間使用する必要があります。出来れば、食事と歯ブラシの時以外は使用する事が大切です。

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全ての永久歯を並べるために、1期治療で大きく顎を拡大しました。しかし、その後のリテーナー使用時間が短いため右上の側切歯が舌側に倒れてきました。小児矯正ではリテーナー使用の目的について本人に理解させることはとても難しく、保護者の協力がとても大切です。八重歯は何とか回避できましたが、右上側切歯の交叉咬合が残りました。側切歯の交叉咬合は下顎の動きを制限し顎関節に過剰な負担が掛かる可能性があります。出来れば2期治療を行い改善する事が望ましいと考えます。

 

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

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