小臼歯3本の先天的欠損がある小児反対咬合治療に挑む album 238
今回の症例は、受け口を気にして来院した小学校4年生の小児です。矯正治療前のレントゲン検査で大きな問題が見つかりました。それは、上顎の左右第1小臼歯と左下の第2小臼歯が先天的に存在しない永久歯3本の先欠です。先欠の部位を如何するかは色々な治療の選択があると思われます。完全な咬合を求めて治療を行うのであれば二つの方法を考えました。プランAは、先欠の部位にスペースを確保しながら矯正治療を行い、将来インプラントを3本打ち込む方法です。プランBは、後続永久歯が存在しない左下の第2乳臼歯と右下の健全な小臼歯を一本抜歯して、歯の本数を先欠で2本足らない上顎に合わせる方法です。プランAを選択すれば矯正の治療費+インプラント3本の治療費が必要となります。プランBを選択すればただでさえ永久歯が3本足りない小児の健全な小臼歯を1本犠牲にしなくてはなりません。プランAは治療費の点で受け入れて貰えず、プランBは健全な永久歯の抜歯をしたくないとの事でした。そこで、当院が選択した方法は完全な咬合を求めることはせず患者さんの希望を出来るだけ叶えるようにしました。それは、上顎の2本の先欠の部位はそのままにして後続永久歯が存在しない左下の第2乳臼歯も抜歯しない状態で何とか反対咬合を改善する1期治療です。反対咬合の治療は、下顎の成長発育を考慮して仕上げの治療を始める必要がありますので、将来2期治療が必要になる場合があります。
治療前後の写真をご覧下さい。
それでは、実際の1期治療の経過をご覧下さい。
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反対の咬み合わせを改善する段階で下顎が右にずれる顎偏位がみられましたが、奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化し口腔筋機能療法(
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先欠がありますので完全な咬合は作ることが出来ませんが、何とか患者さんが満足出来る咬み合わせを誘導することが出来ました。
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先欠がありますので完全な咬合は作ることが出来ませんが、何とか患者さんが満足出来る咬み合わせを誘導することが出来ました。
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咬合高径と咬合平面の適正化並びに口腔筋機能療法(
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咬合高径と咬合平面の適正化並びに口腔筋機能療法(
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第1小臼歯が2本足りませんので完全な歯並びは出来ませんが、何とか近位区のバランスが整った位置に歯を誘導することが出来ました。下顎の成長発育を見て2期治療が必要になると思われます。
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下顎の左下の第2小臼歯が先欠ですので左右差の無いアーチホームは出来ませんでしたが、航空周囲筋のバランスがとれた位置に歯を誘導することによりしっかり咀嚼出来る咬み合わせとなりました。