顎と顎関節を育てる矯正とは album 244

今回は、「咬み合わせが反対になりそうで心配」という事で来院した小児に行った14年間の咬合誘導・咬合育成についてお話ししたいと思います。治療前のレントゲン検査(セファロ分析)では反対咬合の骨格であることが判明しました。初診時はほぼ切端咬合で下顎の前方成長が良好でした。
治療方針は下顎の前方成長を抑え上顎の成長発育を促すように咬合誘導並び咬合育成して行くことにしました。
歯を抜かない矯正治療を実践するためには、出来るだけ小さい頃から適切な咬合誘導・咬合育成によって上下顎の成長発育をコントロールし正常に発育させることがとても重要です。(当院では、顎と顎関節を正常に育てる矯正治療を日々実践しています)
また、成長発育が見込めない成人においては、歯槽骨の形態修正を行い顎関節の動き(顆路)に対して咬合高径・咬合平面を適正化し、口腔周囲筋とのバランスがとれた位置に歯を配列することにより非抜歯で機能的で安定な歯並びを構築するようにしています。
それでは、実際の14年間(2006年から2020年)に及ぶ咬合誘導・咬合育成の経過をご覧下さい。

photo 1332

初診時には、顎の大きさが小さいため全ての永久歯を綺麗に配列することは不可能です。適切な咬合誘導・咬合育成により口腔周囲筋のバランスがとれた位置に配列する事が出来ました。

photo 1333

下顎も上顎同様に顎の大きさが小さいので大きく発育させることが必要です。しかし、前方の成長発育をある程度押さえ込まないと反対咬合になってしまします。そこで長期間筋機能矯正装置を用いて下顎の前方成長を抑制していくことにしました。最終的には右下の犬歯と右上の側切歯が交叉咬合になってしまいましたが、綺麗な歯列を作り上げることが出来ました。

photo 1334

14年間の咬合誘導・咬合育成と筋機能矯正装置の使用により反対咬合を回避することが出来ましたが、下顎右側犬歯と上顎右側側切歯の交叉咬合になってしまいました。これは2期治療(仕上げ)を行えば交叉咬合は改善できますが、現状の咬み合わせに不満はなく今のところ経過観察中です。

photo 1335

徐々に筋肉のバランスがとれた位置に歯が移動して咬み合わせが緊密になっていく様子をご覧下さい。

photo 1336

徐々に筋肉のバランスがとれた位置に歯が移動して咬み合わせが緊密になっていく様子をご覧下さい。

photo 1337

下顎の前方成長を抑制しながら上顎の成長発育を促す事が出来ました。

photo 1338

下顎の前方成長を抑制しながら上顎の成長発育を促す事が出来ました。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

過去の症例はこちら

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA