反対咬合と開咬と顎偏位は友達かも? album 245

今回は前歯のかみ合わせを気にして来院した成人の症例です。術前のレントゲン検査(セファロ分析)で反対咬合の骨格であることが分かりました。左下に水平に埋伏している親知らずが奥歯を前方に押し出した為に犬歯が前方に倒れて飛び出しています。八重歯には色々な原因がありますが、この様に埋伏している親知らずが影響している場合もあるのです。また、下顎が右側に2㎜程ずれて顎偏位を起こしています。この原因も親知らずにより右下の奥歯が前方に傾斜したことにより、奥歯の高さ(咬合高径)が左側より相対的に低くなった事によります。下顎の位置は、奥歯のかみ合わせが低い方にずれる傾向があります。顎偏位を改善する為には左右の奥歯の高さを同じにする必要があります。その他に見られる不正咬合は両側前歯部の側方がかみ合っていない開咬です。これではしっかり前歯で噛むことは出来ません。この原因は、下顎の前方成長が大きいことによる切端咬合と反対咬合の人に多い低位舌の影響により舌が側方から押し出された事によるものです。この様に、全て不正咬合の原因はお互いに関連している場合があります。従って、反対咬合の人は顎偏位と開咬を伴うことが多く見受けられます。これらの全ての原因を改善しなければ安定した咬み合わせは構築出来ません。
低位舌の改善には、MFT(口腔筋機能療法)とガムトレーニングを併用して改善を試みました。また、奥歯の高さを改善する為ゴムメタルワイヤーで一括に後方に下の奥歯を傾斜させています。
それでは実際の治療をご覧下さい。

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反対咬合を改善する為にゴムメタルで奥歯を一括で後方移動しています。左右の奥歯の高さを同じにする事により右側に偏位していた下顎も左側に移動させ改善できました。顎偏位は放置すると顔が曲がり顎変形症になる場合があります。重度になると外科矯正を併用させないと改善できません。出来れば小児のうちに早期に治療を開始して改善しておくことが大切です。反対咬合を改善する為には奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する必要があります。

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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合高径)を適正化する事により、下顎を後方に適応させることが出来ました。安定した咬み合わせを構築する為には、口腔周囲筋のバランスと低位舌の改善がとても重要です。右下の八重歯はゴムメタルで奥歯を後方に一括移動することにより改善しました。

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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合高径)を適正化する事により、下顎を後方に適応させることが出来ました。安定した咬み合わせを構築する為には、口腔周囲筋のバランスと低位舌の改善がとても重要です。

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下顎が後方に適応し、前歯の開咬が改善する様子をご覧下さい。

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下顎が後方に適応し、前歯の開咬が改善する様子をご覧下さい。

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上顎の成長発育は10歳位で終わりますので、成人の矯正においては歯槽骨形態修正を行い口腔周囲筋のバランスがとれた位置に歯を配列することにより安定した機能的な咬み合わせを構築する事が出来ました。また、低位舌を改善するには舌が口蓋に収まるスペースを創り出す事がとても大切です。

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右下の八重歯はゴムメタルワイヤーで奥歯を一括後方移動する事により改善しています。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

 

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