咬合誘導・咬合育成による顎偏位改善と埋伏智歯の影響 album 251

今回は、前歯のすきっ歯と凸凹な歯並びを気にして来院した小学校3年生の小児の症例です。
矯正学的な主な問題点は、
①上顎中切歯の正中離開
②顎偏位(下顎が左側に約2㎜ずれている)
③叢生(永久歯の大きさに対して顎の大きさが小さい)
です。
それに対する当院の治療法は
①歯槽骨形態修正を行い顎の大きさを拡大する
②とりはずし式のリテーナー並びに筋機能矯正装置を用いた咬合誘導。咬合育成を行う
です。
乳歯が混在する状態での1期治療によって、顎偏位と叢生は改善する事が出来ました。その後、筋機能矯正装置を用いて咬合誘導・咬合育成を継続して行いました。その後、経過を見ていると左下の犬歯が前方にずれて八重歯になってきました。これは恐らく左下の埋伏した親知らずが奥歯を前方に押し出した事によるものと診断されました。そこで、埋伏智歯を抜歯して仕上げの2期治療を行うように勧めましたが、抜歯することに抵抗があり経過をこのまま見ていくことと致しました。
埋伏した親知らずは上顎前突(出っ歯)、反対咬合(受け口)、八重歯、開咬、叢生等を引き起こす原因ともなります。
それでは実際の治療経過をご覧下さい。

photo 1415

下顎が左側に2㎜ほどずれています。歯槽骨形態修正の後、咬合誘導・咬合育成を行い何とか改善する事が出来ました。その後、筋機能矯正装置を用いて経過観察をしていると左下の犬歯が前方に傾斜して八重歯になりました。左下の水平埋伏智歯の影響と考えられます。これを改善するには埋伏した左下の親知らずを抜歯して左側の奥歯を後方移動する2期治療が必要となります。

photo 1416

歯槽骨形態修正で上下の顎を拡大し、咬合誘導・咬合育成を行っています。上下の顎は正しい位置に誘導され上顎の八重歯は回避することが出来ました。

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歯槽骨形態修正により犬歯のスペースを確保したので上顎の犬歯は適正な位置に誘導することが出来ました。しかし、左下の犬歯が埋伏した親知らずの影響で前方に押し出されずれが生じてきました。これを改善するには埋伏した親知らずの抜歯が必要となります。

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上下の顎の位置は、適切な咬合誘導・咬合育成により正しく導くことが出来ました。

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上下の顎の位置は、適切な咬合誘導・咬合育成により正しく導くことが出来ました。

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全ての永久歯が並ぶスペースを確保する為、歯槽骨形態修正により顎を拡大し、その後咬合誘導・咬合育成を継続して行っています。

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全ての永久歯が並ぶスペースを確保する為、歯槽骨形態修正により顎を拡大し、その後咬合誘導・咬合育成を継続して行っています。左下の犬歯のスペースを創りましたが、埋伏した親知らずの影響で左側の奥歯が押し出され前方に傾斜していました。これを改善する為には埋伏した親知らずの抜歯を行い下顎の大臼歯の後方移動を行う必要があります。

 

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

過去の症例はこちら

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