今回は、下顎の前歯の歯並びを気にして来院した小学校2年生の症例です。
矯正学的な問題点は
①下顎前歯部の叢生(前歯の歯並びが凸凹)
②過蓋咬合(咬み合わせが深すぎる)
③上顎前歯の歯軸が過度に舌側傾斜(2級2類)
等です。
咬み合わせが深すぎると下顎と顎関節の成長が阻害され、将来顎関節症を発症する可能性があります。身体の成長発育にある小児期は、上下の顎骨や顎の関節を正常に発育させることがとても大切です。その為には、適切な咬合誘導・咬合育成を行って行く必要があります。
当院での治療法は
①奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化して、顎関節の過度の圧迫改善し下顎の前方成長を促す
②下顎の前方成長を促す為に一時的に上顎の前歯の歯軸を唇側に傾斜させる
③安定した咬み合わせを確立するために筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を使用して、口腔周囲筋のアンバランスを改善する
等です。
それでは実際の治療をご覧下さい。
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咬合高径・咬合平面の適正化によって、下顎を前方に発育させ顎関節の圧迫を除外する治療を行っています。深い咬み合わせが改善して下顎が前方に適応していく様子をご覧下さい。
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咬合高径・咬合平面の適正化によって、下顎を前方に発育させ顎関節の圧迫を除外する治療を行っています。深い咬み合わせが改善して下顎が前方に適応していく様子をご覧下さい。
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上顎の歯軸が過度に舌側傾斜して下顎の前方成長を阻害しています。そこで、一時的に上顎の前歯を唇側に傾斜させ下顎の前方成長を促しています。下顎が前方に適応していく様子をご覧下さい。
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上顎の歯軸が過度に舌側傾斜して下顎の前方成長を阻害しています。そこで、一時的に上顎の前歯を唇側に傾斜させ下顎の前方成長を促しています。下顎が前方に適応していく様子をご覧下さい。
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深すぎる咬み合わせが徐々に改善していく様子をご覧下さい。
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舌が口蓋の正しい位置に定着させるために上顎の拡大しています。過蓋咬合では口腔の容積が減少しますので発音が不明瞭になる恐れがあります。舌の挙上訓練等を含め口腔筋機能療法(MFT)を併用して行う事が大切です。この事により安定した咬み合わせを作ることが出来ます。
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下顎の前歯が並ぶスペースが足りません。上顎前歯の歯軸を改善し下顎を拡大しています。徐々に下顎のアーチが成長発育して行く様子をご覧下さい。上下顎の成長発育を阻害する原因を診断して適切な咬合誘導・咬合育成を行って行くことが大切です。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)