今回は、すきっ歯を気にして来院した小学校2年生の小児の症例です。
矯正学的な問題点は
➀顎が小さく全ての永久歯が綺麗に並ぶスペースが足りない。(叢生)
②下顎が後退して顎関節に過剰な負荷が加わっている
③舌骨が後下方に位置して、喉の奥の気道が狭くなっている(口呼吸の原因)
④上顎犬歯の萌出スペースが不足して八重歯になる可能性がある
⑤下顎の位置が右側にずれている(顎偏位)
当院の治療法は
➀拡大床で歯槽骨形態修正を行い顎を広げる
②上顎の奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化して下顎を前方に誘導し顎関節の負担を軽減し発育を促す
③右側の咬合高径が低いため下顎が右にシフトしているので左右の咬合高径を適正化して顎偏位を改善する
④上顎の犬歯のスペースを確保する為に奥歯を後方移動する
等です。
それでは実際の1期治療をご覧下さい。
photo 1519
歯槽骨形態修正を行い顎の大きさを広げワイヤー矯正で奥歯を後方移動して上顎犬歯を非抜歯で配列できるようなスペースを確保しています。この事により準八重歯を回避するようにしています。
photo 1520
下顎が小さく全ての永久歯の前歯が並ぶスペースが足りません。歯槽骨形態修正を施し顎の大きさを広げワイヤー矯正で配列しています。
photo 1518
左右の奥歯の高さが違うため下顎が右側にずれています。このような顎偏位を放置すると顎の成長発育途上にある小児に於いて、将来顔が変形して顎変形症を発症する恐れがあります。左右の咬合高径並びに咬合平面を適正化して下顎と上顎の真ん中を合わせることが出来ました。
photo 1521
ワイヤー矯正で咬合高径・咬合平面を適正化して下顎を前方に誘導して顎関節の負担軽減を図っています。また、奥歯を後方移動して永久歯の犬歯が並ぶ為のスペースを確保しました。この事により犬歯が正しい位置に非抜歯で誘導することが出来ました。
photo 1522
ワイヤー矯正で咬合高径・咬合平面を適正化して下顎を前方に誘導して顎関節の負担軽減を図っています。また、奥歯を後方移動して永久歯の犬歯が並ぶ為のスペースを確保しました。この事により犬歯が正しい位置に非抜歯で誘導することが出来ました。
photo 1523
後方に押し込められた下顎が前方に誘導されていく様子をご覧下さい。
photo 1524
後方に押し込められた下顎が前方に誘導されていく様子をご覧下さい。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)