インビザラインの順次後方移動を応用した第2大臼歯の空隙閉鎖法について album 281

第2大臼歯が抜歯されて出来たスペースを何とかブリッジにしないで矯正治療で治したいという主訴で来院した成人の症例です。
レントゲン撮影してみると右下の親知らずがかなり傾斜していて、奥歯の高さが低くなり右側の顎関節にかなりの負担が掛かっている状態でした。このままでは顎関節症を発症する恐れがあります。
出来れば目立つワイヤー矯正は行いたくないという事でしたので、右下の親知らずを部分的なワイヤー治療(セクショナルワイヤー)で直立させ奥歯の咬合高径を高くして顎関節の負担を軽減し清掃性を向上させ、その後透明なマウスピース型矯正装置を用いるインビザラインで仕上げの治療を行う事にしました。

photo 1590

治療前後の写真をご覧下さい。
右下の近心に傾斜した親知らずと右下の第一大臼歯を移動させる事により、抜歯された第2大臼歯の空隙を閉鎖することが出来ました。

photo 1591

パノラマのレントゲン写真です。
右下の親知らずがかなり近心に傾斜しています。
このままでは十分なブラッシングは不可能ですので、歯周炎により骨吸収が進行してやがては保存が不可能となる恐れがあります。
そこで、部分的なワイヤー矯正にて親知らずを直立(アップライト)させながら出来るだけ近心に移動させる事により欠損した第2大臼歯のスペースをなくすように計画を立てました。但し、親知らずの近心移動は極めて難しくその移動距離も限界があります。
そこで、透明なマススピース矯正装置のインビザラインを用いて右下の第一大臼歯から順次後方移動し同時に右下の親知らずを近心移動する事にしました。

photo 1592

初めに矯正装置が目立たないように奥歯だけセクショナルワイヤーを装着し、近心傾斜した親知らずを直立(アップライト)しながらパワーチェーンで近心移動を行いました。その後、インビザラインで更に右下の親知らず近心に移動させながら右下の第一大臼歯から順番に後方移動(順次後方移動)を行っています。
親知らずを近心移動して抜歯された第2大臼歯の空隙の空隙を閉鎖することは非常に困難なことでありますが、セクショナルワイヤーとインビザラインの順次後方移動を応用する事により効率的に行う事が出来ました。
インビザラインの順次後方移動法は極めて実現性があり、今までワイヤー矯正治療だけでは極めて困難な症例も効率的に改善出来る可能性があると思われます。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

過去の症例はこちら

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