今回は、出っ歯を気にして来院した小学校2年生の症例です。
矯正学的問題点は
①出っ歯(上顎前突)
②下顎が左にずれ(顎偏位)、左側の奥歯のかみ合わせが反対(交叉咬合)
③咬み合わせが深すぎる(過蓋咬合)
④歯の大きさに対して顎の大きさが不足しています(叢生)。その為、歯並びが凸凹しており八重歯になる恐れがあるます(上顎犬歯が萌出する為のスペース不足)
⑤異常嚥下癖並びに舌の位置の不正(舌が上顎の正しい位置に収まる為の口蓋スペースが不足)
顎の成長発育途上にある小児においては、出来るだけ早期に顎偏位を改善し将来顎変形症に移行しないようにする事はとても意味があります。出来れば顎切り(外科矯正)は行いたくないものです。
それでは実際の治療経過をご覧下さい。
<参考>
舌の正しい位置について album 275
咬合平面・咬合高径の適正化とは?
photo 1583
下顎の左側の奥歯の高さが不足しているために下顎が左側にシフトしています。奥歯の高さ(咬合高径)を適正化して下顎右側に誘導して顎偏位と過蓋咬合を改善しました。
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奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化して、後退した下顎を前方に誘導して上顎前突を改善しました。
photo 1585
奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化して、後退した下顎を前方に誘導して上顎前突を改善しました。
photo 1586
下顎の叢生を改善する為に装着した拡大床のクラスプを利用して下顎を右側に誘導するように顎間ゴムを使用しました。
photo 1587
下顎の叢生を改善する為に装着した拡大床のクラスプを利用して下顎を右側に誘導するように顎間ゴムを使用しました。
photo 1588
異常嚥下癖並びに不正な舌の位置を修正するために、上顎の口蓋の大きさを広げ舌が収まるようなスペースを確保し口腔筋機能療法(MFT)を行っています。出っ歯を改善し犬歯のスペースを確保する為にワイヤー矯正で第一大臼歯を後方移動しながら咬合平面を適正化しています。全ての乳歯が抜けたらリテーナー代わりに筋機能矯正装置を用いて咬合誘導・咬合育成を行う事にしています。
photo 1589
下顎の大きさが不足しているために八重歯になる恐れがあります。拡大床で顎を広げる事により叢生の改善を試みています。又、犬歯を並べる為に乳臼歯を削合しています。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)