顎骨の成長発育途上にある小児において前歯のかみ合わせが1本でも反対だと下顎の動きに制限が生じ、顎偏位になる可能性があります。また、左右の顎関節の運動にも過剰な負担がかかるようになります。この状態を放置すると顔が変形する顎変形症に移行したり、顎関節症を発症する恐れがあります。また、下顎の動きに制限が加わるために発音や咀嚼障害を引き起こすこともあります。十分な咀嚼が出来ないと消化するために内臓に過剰な負担をかける事になります。十分な栄養を吸収出来なくなると成長発育にも大きな影響があります。
今回は前歯の歯並びを気にして来院した小学校2年生の小児の症例を通して、前歯の交叉咬合の治療を見ていただきます。
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右上前歯2本の咬み合わせが反対です。その為、下顎が左側に2㎜ほどずれています。1期治療を行い反対の咬み合わせを改善し、その後筋機能矯正装置で筋肉のバランスを考慮して咬合誘導・咬合育成を継続して機能的で安定な咬み合わせを作ることが出来ました。
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右上前歯2本の咬み合わせが反対です。その為、下顎が左側に2㎜ほどずれています。1期治療を行い反対の咬み合わせを改善し、その後筋機能矯正装置で筋肉のバランスを考慮して咬合誘導・咬合育成を継続して機能的で安定な咬み合わせを作ることが出来ました。
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反対のかみ合わせを改善する為に、前歯4本の歯根が三分の二出来上がるまでの間に抜歯しないで全ての永久歯を配列できるように拡大床で顎を広げました。その後、ワイヤー矯正で前歯を配列し、八重歯にならないよう奥歯を後方移動して犬歯の萌出スペースを確保しました。その後取り外しのマウスピース型筋機能矯正装置を用いて咬合誘導・咬合育成を行いました。
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下の前歯4本が並ぶスペースが足りません。とりはずし式の拡大床で顎の歯槽骨形態修正を行い顎を広げました。その後ワイヤー矯正で前歯を配列し更に犬歯の萌出スペースを確保する為に奥歯を後方移動しています。その後筋機能矯正装置で安定した歯並びが得られるまで咬合誘導、咬合育成しています。
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左側に2㎜ほどずれた咬み合わせ(顎偏位)を改善し、自然でバランスのとれた咬み合わせを獲得することが出来ました。
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初めに拡大床で顎を拡大した後に、ワイヤー矯正で奥歯のかみ合わせ(咬合平面並)と奥歯の高さ(咬合高径)を適正化して下顎の前方成長を促すように治療を行っています。
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初めに拡大床で顎を拡大した後に、ワイヤー矯正で奥歯のかみ合わせ(咬合平面並)と奥歯の高さ(咬合高径)を適正化して下顎の前方成長を促すように治療を行っています。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)