咬合平面の適正化によって出っ歯(上顎前突)を改善する方法【album 294】

当院では、出っ歯(上顎前突)を改善する為に健全な小臼歯を抜歯して出ている前歯を後退させる治療は出来るだけ避けたいと考えています。何故なら顎骨の成長発育期における小児矯正では、上顎の奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により下顎を前方に成長発育させる事が出来るからです。日本人の出っ歯(上顎前突)は、上顎骨の過成長によるものは少なく下顎の前方成長が阻害され下顎が後退することによる相対的なものが多いと思われます。そこで今回は、出っ歯を気にして来院した小学校2年生の小児の症例を通して非抜歯で上顎前突を改善する方法について考えていきたいと思います。
それでは上顎の奥歯のかみ合わせ(咬合平面)のみを適正化する事により、下顎骨に起こる変化について見ていきましょう。

結論
顎骨の成長発育期における小児矯正において、上顎の奥歯の咬合平面の適正化を行い下顎の成長発育を促す咬合誘導並びに咬合育成の方法は出っ歯(上顎前突)を改善する為に極めて有効である。

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上顎の奥歯のかみ合わせ(咬合平面)が下顎の運動路(顆路角)に対してかなり急傾斜している為に奥歯で咬合干渉が生じ下顎の前方成長が阻害され、後方に後退している事が原因で出っ歯(上顎前突)となっていることが術前の検査分析により判明しました。そこで、顆路角に対して適正な咬合平面の傾斜角を導き出し咬合平面の適正化を行うことに致しました。下顎には一切積極的なアプローチは行いませんでしたが、上顎の咬合平面の適正化に伴い自然に下顎が前方に成長発育して出っ歯(上顎前突)が改善しました。

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上顎の咬合平面の適正化により、下顎が自然に前方に成長発育して出っ歯が改善していく様子をご覧下さい。下顎には一切積極的なアプローチはしていません。

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上顎の咬合平面の適正化により、下顎の前歯の凸凹(叢生)が改善し下顎が前方に大きく成長発育していく様子をご覧下さい。下顎には一切積極的なアプローチはしていません。

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上顎の部分的なワイヤー矯正を行い奥歯を挺出させ、前歯部を圧下する事により奥歯の咬合平面をフラット化して咬合平面を適正化しています。下顎には一切積極的なアプローチはしていません。

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初めに上顎右側側切歯の交叉咬合を改善する為に、取り外しの拡大床で上顎を大きく拡大しています。この事により舌が上顎の正しい位置に導かれ定着していきます。また、舌を挙げるトレーニングも併用しています。下顎と舌が後退していると気道が狭くなり口呼吸を誘発します。口呼吸は、口腔周囲筋のバランスを妨げ不正咬合の原因ともなります。また、口呼吸は色々な全身の慢性疾患との関連も分かってきています。当院では,出来るだけ口呼吸から鼻呼吸への変換をスムースに行えるように様々なMFT(口腔筋機能療法)を行っています。
十分な顎の大きさが確保された後は、前歯を並べ更に永久歯の犬歯が萌出するスペースを作るためワイヤー矯正で奥歯を後方に移動しています。この事により八重歯を回避することが出来ます。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

 

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