歯列を拡大して矯正すると顔も大きくなるの?【album 299】

「歯を抜かないで顎を拡大して歯を並べて矯正治療をすると、顔も大きくなるのですか?」と心配をしている患者さんが多くいらっしゃいます。安心して下さい。そんなことはありません。
当院では、なるべく歯を抜かないで矯正治療を行うようにしています。
<顎が小さくて歯が並ばない時の対処法>
①顎を徐々に広げる側方拡大(歯槽骨形態修正)
②臼歯を後方移動
③歯の間をやすりで削り(最大で約0.5㎜)スペースを創るIPR(InterProximal Reduction)
④小臼歯を抜歯して歯を並べる
⑤急速拡大(上顎の正中口蓋縫合が未だ癒着していない小児の上顎を急速に広げ、縫合を開いて新生骨を添加する)
の5つの方法があります。
当院では主に①②③の方法を採用しています。
この方法の中で①の顎を広げる歯槽骨形態修正について詳しく説明をします。
顎の骨は上顎骨と下顎骨の二種類あります。その顎骨の大きさは成長発育期に徐々に大きくなります。上顎は10歳位まで発育し、下顎は女性は14歳位まで、男性は18歳位まで発育して大きくなります。従って、顎骨の成長発育途上の患者様については、不正咬合を改善する為にその根本原因を改善する為に顎の骨の成長発育を利用する事が出来ます。この時期は、身長も伸び頭や顔の大きさも大きくなります。しかし、矯正治療を行って歯を並べても殆ど顔の大きさに変化は見られません。
主に変化するのは顎の骨の上に歯を支える歯槽骨の形態です。
歯槽骨の形態は簡単に広げる事は出来ますが、そのアーチを維持するためには口腔周囲筋とのバランスを整える必要があります。従って、
矯正治療を行うにあたり舌位(スポット)、呼吸法(鼻呼吸の確立)、嚥下(リバーススワローの改善等)、口唇閉鎖(リップシールド)、咬合力等などを考慮し安定して機能的な咬合を確立するように努めています。
それでは歯槽骨形態により非抜歯で矯正治療した小学校2年生の症例をご覧下さい。

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顎の大きさが小さいため永久歯が綺麗に並ぶことが出来ません。そこで顎の骨そのものの修正は行わず歯を支えている歯槽骨の形態修正を行い、その後ワイヤー矯正で歯を配列しました。また口元を改善する為に奥歯を後方移動しています。

photo 1682

顎の大きさが小さいため永久歯が綺麗に並ぶことが出来ません。そこで顎の骨そのものの修正は行わず歯を支えている歯槽骨の形態修正を行い、その後ワイヤー矯正で歯を配列しました。また口元を改善する為に奥歯を後方移動しています。

photo 1683

治療前後の顎の大きさをご覧下さい。一回り大きくなっています。当院では、口腔周囲筋のバランスを整えるために舌が口蓋の正しい位置(スポット)に収まるように歯槽骨の形態修正を行うようにしています。この事により喉元の気道が広がり鼻呼吸が楽に行えるようになります。口呼吸は歯並びの安定に悪い影響を与えるばかりではなく、様々な慢性疾患との関連があります。出来るだけ正しい嚥下と呼吸法を身につけることはとても大切です。

 

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