機能的で長期安定した咬合を求めて【album 300】
今回は、八重歯を気にして来院した小学校4年生の症例を通して矯正治療後に機能的で安定した咬合を獲得する為に必要なことを考えてみたいと思います。当院では、矯正治療によって歯を動かすときには次のようなことを重視しています。
①術前に骨格分析(セファロ、CT)並びに顎関節の運動路(顆路)を術前に分析し、奥歯の高さ(咬合高径)並びに奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化して適切な下顎位を誘導し、顎関節に過剰な負担が加わらないように考慮する。
②上下顎の成長発育期にある小児においては、顎並びに顎関節の正常な発育を促す事が出来るように適切な咬合誘導・咬合育成を行う。
③安定して機能的な咬合を確立するためには、口腔周囲筋と歯列のバランスがとれていることがとても大切です。その為、正しい呼吸(鼻呼吸)および正しい嚥下が出来るように舌の大きさを考慮して上顎の歯列を歯槽骨形態修正によって十分に拡大し、口腔筋機能療法(MFT)による筋トレを行っています。
それでは実際の治療経過をご覧下さい。
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舌が正しい位置に納まるように初めに拡大床で歯槽骨形態修正を行い、その後ワイヤー矯正により八重歯を改善する為に奥歯を後方移動しながら奥歯の高さ(咬合高径)並びに奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化しています。この事により顎関節に過剰な負担が加わらない機能的で安定した咬合を構築することが出来ました。口腔筋機能療法(MFT)を併用して行っています。
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犬歯が並ぶスペースが足りませんので、ワイヤー矯正により奥歯を後方移動しながら咬合高径・咬合平面を適正化しています。しっかりした犬歯誘導を確立する事は、奥歯と顎関節を保護するためにはとても大切です。
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歯槽骨形態修正を施し十分な上顎の大きさを確保してからワイヤー矯正により咬合高径・咬合平面を適正化して安定した機能的な咬合を作ることが出来きました。深すぎる咬み合わせ(過蓋咬合)は、顎関節に過剰な負担を加え顎関節症を発症する恐れがあります。
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奥歯の高さ(咬合高径)・奥歯のかみ合わせ(咬合高径)を適正化する事により機能的で安定した咬合を得る事が出来ました。
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奥歯の高さ(咬合高径)・奥歯のかみ合わせ(咬合高径)を適正化する事により機能的で安定した咬合を得る事が出来ました。
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咬合高径・咬合平面を適正化する事により、非抜歯で下顎を適切な位置に誘導しています。
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咬合高径・咬合平面を適正化する事により、非抜歯で下顎を適切な位置に誘導しています。
<参考>