小児における出っ歯(上顎前突)矯正治療で必要なこと【album 312】
成長発育期にある小児は早期治療を開始することにより出っ歯(上顎前突)の根本原因を改善出来る可能性があります。矯正治療は歯をキレイに審美的に配列するだけで良いのでしょうか?不正咬合には様々な原因があります。当院では、長期に安定した咬合を求めてなるべく不正咬合の根本原因を考察して矯正治療を行っています。
成長発育期にある小児における出っ歯(上顎前突)の治療で改善しておくべきポイントについて考えてみます。
① 口腔周囲筋のバランスの不調和・・・前歯が前方に押し出された原因として舌位のポジションの不正があります。舌が正しい位置をキープできないと喉の奥の気道が狭められ口呼吸を引き起こします。また、舌の支えがないと歯列は外側から筋肉の圧力で潰され前歯が押し出されます。そこで当院では、口蓋に舌が収まるスペースを先ず確保するようにしています。それと同時にガムを使用した舌の挙上トレーニングを行います。その事により舌が口蓋に吸い付くように挙上され気道がおおきく広がります。それによりいびきや睡眠時の無呼吸は改善される可能性があります。その事は睡眠の質を上げ健康向上にも寄与することになります。また、矯正治療後の後戻りを回避し安定した歯並びを維持するためにはとても大切です。筋肉のバランスがとれた位置に歯が配列されて初めて長期安定した咬合をもたらします。
② 奥歯のかみ合わせ(咬合平面)と奥歯の高さ(咬合高径)の不調和・・・奥歯のかみ合わせは下顎の位置に大きな影響をもたらします。出っ歯の多くは上顎骨の過成長によるものより下顎の後退による相対的なものが多いと思われます。従って、咬合平面と咬合高径を適正化する事により顎間間接並び下顎の正常な前方成長を促す事はとても大切です。しかも、この治療は顎骨の成長発育が期待出来る小児だからこそ効果的な治療法なのです。
それでは、出っ歯を気にして来院した小学校3年生の症例を通して実際の治療法について見ていきます。
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初めに舌の正しい位置を確保するためにとりはずし式の拡大床で上顎を大きく広げ、ガムによる舌の挙上トレーニングを開始します。その後ワイヤー矯正により咬合高径並びに咬合平面を適正化します。その事により顎関節の圧迫が取れて顎関節の正常な発育が促され下顎が前方に成長発育して行きます。更に異常な嚥下癖改善と舌の正しいポジションを覚えて貰うために筋機能矯正装置を使用しています。深すぎる咬み合わせと出っ歯が改善され下顎が前方に発育していく様子をご覧下さい。
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初めに舌の正しい位置を確保するためにとりはずし式の拡大床で上顎を大きく広げ、ガムによる舌の挙上トレーニングを開始します。その後ワイヤー矯正により咬合高径並びに咬合平面を適正化します。その事により顎関節の圧迫が取れて顎関節の正常な発育が促され下顎が前方に成長発育して行きます。更に異常な嚥下癖改善と舌の正しいポジションを覚えて貰うために筋機能矯正装置を使用しています。深すぎる咬み合わせと出っ歯が改善され下顎が前方に発育していく様子をご覧下さい。
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下顎の運動路(顆路)に対して急峻過ぎる咬合平面をフラット化して下顎の前方成長を促しています。
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下顎の運動路(顆路)に対して急峻過ぎる咬合平面をフラット化して下顎の前方成長を促しています。
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深すぎる咬み合わせ(過蓋咬合)は顎関節に過剰な負担を加え顎関節の正常な発育を阻害します。治療後に如何しても咬み合わせが深くなることが多いのでオーバートリートメントしてかなり浅く咬み合わせを整えています。
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八重歯を回避する為に奥歯を後方に移動して犬歯の萌出スペースを確保するようにしています。
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上顎の歯並びが改善するに伴い下顎が自然に成長発育して行く様子をご覧下さい。成長発育期にある小児における適切な咬合誘導・咬合育成はとても大切です。
<参考>