小児矯正における永久歯犬歯の萌出スペース確保について 【album 324】

小児矯正の1期治療において永久歯の犬歯の萌出スペースを確保することは、仕上げの2期治療の期間を短縮し矯正のリスクを少なくする事が出来るのでとても大切です。例え早期に矯正治療を開始しても永久歯の犬歯の萌出スペースを確保することが出来なければ、八重歯になり健全な小臼歯を抜歯する矯正を選択せざる得ないこともあるからです。当院では出来るだけ非抜歯で矯正治療を行うために不正咬合に気がついたら出来るだけ早期に矯正治療を開始して上下顎並びに顎関節の正常な発育を促す咬合誘導・咬合育成を行っています。その事により、殆どの場合非抜歯で矯正治療を終了することが出来ます。それでは、上の前歯の歯並びを気にして来院した小学校2年生の症例を通して実際の治療法をご覧下さい。

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初診時、永久歯の犬歯の萌出スペースが全く足りません。そこで奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化しながら大臼歯を後方移動して犬歯の萌出スペースを確保しました。犬歯にはブラケットを付けなくても適切な位置に誘導する事が出来ました。

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下顎の運動路(顆路)に対して咬合平面が急傾斜となっています。そこでワイヤー矯正によって前歯を圧下して奥歯を挺出させ咬合平面をフラットに修正して下顎の位置を前方に適応させるように咬合誘導しています。

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顎の大きさが小さいために全ての永久歯が並びそうにありません。とりはずし式の拡大床で顎の大きさを広げ、その後ワイヤー矯正により歯並びを整えています。犬歯・第一小臼歯・第二小臼歯にはブラケットを付けることなくスペースを確保と口腔周囲筋のトレーニングを行い筋肉のバランスのとれた位置に歯牙を誘導して配列を行っています。

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上顎の奥歯の咬合平面を適正化する事により、下顎を前方に発育させ出っ歯(上顎前突)を改善しました。下顎にはブラケットを使用していません。

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上顎の奥歯の咬合平面を適正化する事により、下顎を前方に発育させ出っ歯(上顎前突)を改善しました。下顎にはブラケットを使用していません。

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小児矯正の1期治療ですきっ歯を改善し八重歯になる事なく矯正治療を終えることが出来ました。この後,2期治療で仕上げの治療を勧めましたが特に希望がなかったので矯正治療を終えることに致しました。

<参考>

過去の症例はこちら

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