顎偏位(顎のずれ)は出来るだけ早めに改善する事が大切【album 331】

顎のずれは成長発育期になる小児矯正では、出来るだけ早期に改善する事により顔が歪む顎変形症になる事を回避できる可能性があります。重度の顎変形症は、顎切り(外科矯正)をしなければ治療が出来ない場合があります。矯正には必ずリスクが伴いますが、複雑で困難な治療をするほどリスクが上がると思われます。安全に矯正治療を行うには、不正咬合の原因を分析して出来るだけ早期に適切な咬合誘導・咬合育成をして難症例にしないことが大切です。今回は、前歯と奥歯のかみ合わせを気にして来院した小学校2年生の症例を紹介します。
矯正学的な主な問題点は
①前歯部と臼歯部の交叉咬合
②顎偏位(下顎が左側にずれている)
③上顎の歯列の幅が小さい
④すきっ歯(正中離開)
等です。
顎偏位の原因は、遺伝的な影響は少なく上顎骨の成長発育が左右でかなり違いが生じて左側の奥歯のかみ合わせがずれた事によるものであると診断されました。初めに上顎の大きさを拡大床で広げて左側の咬み合わせを改善する事にしました。その後は、数年リテーナーで保定した後に筋機能矯正装置を用いて口腔周囲筋と歯列のバランスを取りながら永久歯が全て配列されるまで咬合誘導・咬合育成しています。

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上顎を取り外しの拡大床で広げ、奥歯の交叉咬合を改善して顎偏位を治療しました。その後は、舌の挙上訓練等を行い口呼吸から鼻呼吸へ変換することができました。簡単な矯正装置でリスクを最小に抑え、最大限の効果を上げることが出来ました。

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舌の正しいポジションの訓練を成功させるためには、上顎の大きさが舌が収まる程度大きくないと上手くいきません。口呼吸を改善する為には、舌の挙上トレーニングをリップシールド(口唇閉鎖)する為に口輪筋のトレーニングがとても効果的です。

それでは実際の治療経過をご覧下さい。

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初めにとりはずし式の拡大床で上顎の大きさを広げ、奥歯の交叉咬合を改善しました。その後は、リテーナーを使いながら舌と口腔周囲筋のトレーニングを行っています。その後、乳歯が抜けリテーナーが維持できなくなった後は、夜だけ筋機能矯正装置を使用してもらいました。全ての永久歯が口腔周囲筋のバランスがとれた位置へ配列されました。

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左側の交叉咬合の改善のために取り外しの拡大床で上顎を広げ、その後舌の正しいポジションを習得してもらえるようにガムトレーニング等を行っています。

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下の歯並びは上顎の歯並びが改善するにつれて自然に配列されていきました。

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顎偏位の改善により咬合力で自然に綺麗な歯並びが形成されていきます。

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顎偏位の改善により咬合力で自然に綺麗な歯並びが形成されていきます。

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早期に顎偏位を改善出来たことから、正常な顎と顎関節の発育を促す事が出来ました。

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早期に顎偏位を改善出来たことから、正常な顎と顎関節の発育を促す事が出来ました。

<参考>

過去の症例はこちら

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