小児矯正における顎のずれ(顎偏位)の対応について【album 350】
顎および顎関節の成長発育期における顎のずれは、なるべく早めに治療を開始することが必要です。顎のずれにより顔が歪み骨格的な問題が大きくならないうちに対処することが望ましいと思われます。顎偏位は放置すると顎変形症に発展する恐れがあります。そうなると外科矯正(顎切り)を行わないと完全に治療が出来なくなります。今回は、前歯の歯並びを気にして来院した小学校3年生の症例を見ていただきます。上下顎共に顎の大きさが小さく全ての永久歯が並ぶことが出来ません。また、下顎が左側に3ミリほどずれています(顎偏位)。それでは実際の治療をご覧下さい。
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下顎の正中が左側に3ミリほどずれています。先ず顎の大きさを拡大し左右の咬合平面・咬合高径を適正化しながらワイヤー矯正によって下顎のずれと前歯の歯並びを改善しました。その後、筋機能矯正装置を用いて全ての永久歯が萌出するまで咬合誘導・咬合育成を行い機能的で安定した咬合を構築することが出来ました。
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右上の永久歯の犬歯が並ぶスペースが足りません。ワイヤー矯正によって奥歯を後方移動して萌出スペースを確保し、八重歯を回避しました。その後、筋機能矯正装置により口腔周囲筋と舌の筋肉のバランスを整え安定した咬合を構築しました。
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咬合平面・咬合高径を適正化して顎偏位を改善し、その後筋機能矯正装置を用いて全ての永久歯が萌出し咬合するまで咬合育成・咬合誘導を行っています。
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咬合平面・咬合高径を適正化して下顎の位置を適切に誘導しています。
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咬合平面・咬合高径を適正化して下顎の位置を適切に誘導しています。
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顎の大きさが小さいので初めに取り外しの拡大床で顎の大きさを広げました。その後ワイヤー矯正により奥歯を後方移動して犬歯の萌出スペースを確保し、八重歯を回避することが出来ました。
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初めに顎の大きさが小さいので取り外しの拡大床で顎の大きさを広げました。その後ワイヤー矯正により歯並びを改善しました。1期治療終了後は筋機能矯正装置を用いて咬合誘導・咬合育成を行っています。顎の成長発育期にある小児矯正では、筋機能矯正装置を用いて機能的で安定した咬合を構築することが出来る場合があります。今回は仕上げの2期治療を行う必要はありませんでした。
<参考>