小児矯正における反対咬合の1期治療について【album 356】
顎骨の成長発育期における小児の反対咬合の治療は、性別により仕上げの治療を行う時期が異なります。下顎の成長発育は女子の場合14歳位まで、男子の場合は18歳位まで続きます。従って、小児の反対咬合の治療は1期治療終了後も長期的な経過観察を行い適切な咬合誘導・咬合育成が大切です。それに対して上顎の成長発育は10歳位までですので、できるだけ早い時期に反対咬合を改善し上顎の正常な発育を促す必要があります。当院では、反対咬合の治療は3歳位からスタートしています。それは出来るだけ上顎の成長発育を促し下顎の前方成長をコントロールする為です。また、反対咬合の小児の多くに低位舌と上唇付近の筋肉の過度の緊張並びに下唇付近の筋肉の弛緩が見られます。上下顎の正常な成長発育を促す為には、この筋肉のバランスを改善する事がとても大切です。その為に反対咬合の治療と並行して口腔周囲筋のバランスを整えるトレーニングを行っています。それでは実際の反対咬合の1期治療をご覧下さい。
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3歳から治療を開始した女子の症例です。初めはとりはずし式の筋機能矯正装置を用いて筋肉のバランスと低位舌の改善を行います。その後、治療に慣れてきたら咬合高径・咬合平面を適正化する治療を開始します。被蓋改善が見られませんでしたので、部分的なワイヤー矯正治療で被蓋を改善する治療を行いました。反対の被蓋改善後は、虫歯のリスクを改善する為になるべく早めにブラケットを除去しています。女子の場合、下顎の成長発育は14歳位まで続きますので、13歳位から仕上げ2期治療治療を計画しています。
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咬合平面・咬合高径を適正化しながら反対の咬み合わせを改善しています。また、筋肉のバランスを整える事により上顎の成長を促し下顎の前方成長を出来るだけ抑制するようにしています。
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下顎の成長発育が旺盛で何とかワイヤー矯正で反対の被蓋を改善しました。
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下顎の成長発育が旺盛で何とかワイヤー矯正で反対の被蓋を改善しました。
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下顎の成長発育が旺盛で何度か咬合高径の調整を行っています。
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3歳から治療を開始して上顎の正常な成長発育を促す事が出来ました。
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下顎の成長発育が旺盛で13歳位から2期治療を行う必要があると思われます。
<参考>