小児矯正で八重歯を回避する新しい方法(インビザラインファースト)【album 358】

概ね小学校5年生位に、上の永久歯の犬歯が萌出してきます。その時、八重歯になるかどうかは犬歯の萌出スペースがあるかどうかで決まります。従って、当院では上顎の犬歯が萌出する2〜3年前から顎の大きさを取り外し式の拡大床で拡大し、その後六歳臼歯をワイヤー矯正で後方移動する事により犬歯の萌出スペースを確保し、咬合誘導・咬合育成しています。しかし如何してもワイヤー矯正でも治療期間が1年から2年必要となります。下顎の犬歯は小学校3年生位に萌出しますので、小学校1年生位に治療を開始しないと間に合いません。そこで、当院では小児用のインビザラインを用いて効率的に顎の拡大と奥歯の後方移動を行う事により、半年から1年で上下顎の犬歯のスペースを確保する方法を行うようにしました。本来インビザラインは永久歯列が対象で乳歯と永久歯が混在する混合歯列期は対象外でしたが、数年前からインビザラインファーストとして18ヶ月間限定で治療が行えるようになりました。インビザラインは、透明なマウスピースを使用して目立つことなく矯正治療中も歯ブラシや食事が快適に行えます。但し、治療用のマウスピース(アライナー)の装着時間が短く破損が多い場合はワイヤー矯正に変更する場合もあります。インビザラインは極めて効率的に歯の移動を行えますが、1日の装着時間が20時間から22時間確保する必要があります。全ての症例でインビザラインだけで治療が出来るわけではありません。それでは、具体的な治療経過をご覧下さい。

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先ずは,従来の治療法について見ていきます。先ず,小さな顎をとりはずし式の拡大床で広げワイヤー矯正で奥歯を後方移動します。治療期間は2年前後必要でした。

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下顎の犬歯のスペースが足りません。このままでは八重歯になってしまいます。そこで、とりはずし式の拡大床で顎を広げた後ワイヤー矯正で奥歯を後方移動して永久歯の犬歯の萌出スペースを確保しました。この事により八重歯を回避することが出来ました。上顎同様に治療期間は2年前後必要となります。

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インビザラインファーストによる上顎犬歯の萌出スペースを確保する方法です。インビザラインは顎の拡大と奥歯の後方移動を同時に行えますので半年から1年で十分な犬歯の萌出スペースを確保することが出来ます。

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インビザラインファーストによる下顎の永久歯の犬歯の萌出スペースを確保しました。上顎同様に半年から1年で効率的に永久歯の犬歯のスペースを確保する事が出来ました。

小児矯正では、歯ブラシが十分に行えないと虫歯のリスクが高まります。食事や歯ブラシの時に取り外しが出来るインビザラインファーストの治療は極めて有効で優れた方法と思われます。下の前歯の並びが悪いと気が付いたら早めにご相談下さい。小児矯正において適切な咬合誘導・咬合育成を行えば八重歯を回避し非抜歯で矯正治療を行える可能性が高まります。

 

<参考>

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