下顎両側側切歯の先天性欠損症例を非抜歯で改善する方法【album 380】

下の前歯が先天的に2本ない場合、上顎の前歯が6本で下顎の前歯が4本となり上下顎の前歯の本数が異なることになります。この様な場合、歯の数が多い上顎の歯列の大きさが下顎の歯列に比べかなり大きくなります。単純に上下の歯を並べるだけでは大きな上顎に対して小さな下顎が後退し出っ歯(上顎前突)になってしまう恐れがあります。上顎の小臼歯を抜歯して矯正する方法も選択肢として有りますが、当院ではできるだけ歯を抜かない矯正法を選択することにしています。非抜歯矯正を実現するためには、ワイヤー矯正で上顎の奥歯を後方に移動させ前歯を出来るだけ後退させる事が必要です。その際、奥歯のかみ合わせ(咬合平面)と奥歯の高さ(咬合高径)を適正化して機能的な咬合を構築するようにしています。上下顎及び顎関節の成長発育期に適切な咬合誘導・咬合育成をする事はとても意義があります。それでは、治療前後の写真をご覧下さい。

photo 2250

上顎の前歯が六本で下顎の前歯が四本です。咬合平面・咬合高径を適正化して機能的で安定した咬合を作ることが出来ました。

photo 2251

右上の側切歯の咬み合わせが反対で交叉咬合となっています。その為、下顎が左に3㎜偏位(顎偏位)ています。ワイヤー矯正によって側切歯の交叉咬合を改善し顎偏位を改善しました。

photo 2252

咬合平面・咬合高径を適正化して機能的で安定した咬合を構築することが出来ました。

photo 2253

6本前歯の上顎に対して、側切歯2歯の先天的欠損のため下顎前歯は4本です。上下の前歯のアーチの大きさがかなり異なりますが、上顎の奥歯をワイヤー矯正により後方移動する事により非抜歯で上顎前突になる事なく機能的で安定した咬合を構築しています。

それでは、実際の治療経過をご覧下さい。

photo 2254

ワイヤー矯正で咬合平面・咬合高径を適正化して歯を配列していきました。下顎の前歯は通常6歯ですが、側切歯が両側先天的欠損であるため4歯です。

photo 2255

上顎右側の側切歯が舌側に萌出したために、側切歯の咬み合わせが反対の交叉咬合となっています。ワイヤー矯正により奥歯を後方移動させ側切歯の配列スペースを作り、更に永久歯の犬歯の萌出スペースを作るために歯列の拡大と奥歯の後方移動を行って八重歯を回避することが出来ました。当院では八重歯を治療するために小臼歯を2本抜歯する治療を選択する事は出来るだけ行わず、奥歯を後方移動させ咬合平面・咬合高径を適正化する治療により非抜歯で治療を行っています。

photo 2256

下顎両側の側切歯の先欠ですが、奥歯の後方移動させ咬合平面・咬合高径を適正化し非抜歯で側切歯の交叉咬合を改善し、更に犬歯の萌出スペースを確保し八重歯を回避し、出っ歯(上顎前突)になる事もなく機能的で安定した咬み合わせを構築する事が出来ました。

photo 2257

下顎両側の側切歯の先欠ですが、奥歯の後方移動させ咬合平面・咬合高径を適正化し非抜歯で犬歯の萌出スペースを確保し八重歯を回避し、出っ歯(上顎前突)になる事もなく機能的で安定した咬み合わせを構築する事が出来ました。

photo 2258

上顎右側の側切歯の交叉咬合を改善する事により下顎の顎偏位を改善しました。成長発育期にある小児期に顎偏位を早期に改善することにより、顎偏位から顎変形症に移行することを阻止して外科矯正を回避することができる場合があります。

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ワイヤー矯正により奥歯を後方移動して咬合平面・咬合高径を適正化する事により、上下顎の位置をコントロールしています。

photo 2260

ワイヤー矯正により奥歯を後方移動して咬合平面・咬合高径を適正化する事により、上下顎の位置をコントロールしています。

photo 2261

上顎側切歯の交叉咬合を改善する事により下顎のずれ(顎偏位)を修正し、奥歯を後方移動して永久歯の犬歯の萌出スペースを創り八重歯を回避し、非抜歯で適正な上下顎の咬み合わせを構築することが出来ました。

<参考>

過去の症例はこちら

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