反対咬合の小児の1期治療 album 171

顎の形は何処まで変えられるのか!
(歯槽骨形態修正の実際) その 50

今回は、反対咬合の小児の1期治療の症例を紹介します。
反対咬合の患者さんの主な特徴は、
①上唇付近の筋肉(口輪筋)の緊張が強い→上顎の前方成長抑制
②下唇付近の筋肉は弛緩している→下顎の前方への過成長を助長
③低位舌(舌が上顎の口蓋まで挙がらないで、常に下の前歯を後ろから押している)→下顎の過成長を助長
ということです。
従って、上顎の前方発育が緊張した筋肉で押さえ込まれ劣成長になっていますので、上顎が小さく全ての永久歯の前歯が並ぶ為のスペースが足りません。そこで、始めに歯槽骨の形態修正をして顎を大きく広げました。また、奥歯のかみ合わせの高さ(咬合高径)が低いと下顎の位置がオーバーローテーションにより前に出てしまいますので、咬合高径を高くしました。尚、反対咬合の治療は、筋肉のバランスと舌の挙上を考慮して改善する必要があります。今回は、筋機能矯正装置(トレーナーシステム)とMFT(口腔筋機能療法)を併用して治療を行っています。
それでは実際の治療をご覧下さい。

<追伸>
当院の「歯を抜かない矯正歯科の症例写真」です。
このalbumシリーズのコンセプトはalbum1に掲載しています。

歯列矯正治療をお考えの方、是非ご覧ください。
「albumシリーズのコンセプト(2019年3月17日掲載)」

<参考>

子供の矯正治療をスタートする目安 その 1
「生え代わりの時期が来ても、上顎の乳前歯の間に隙間(発育空隙)がない時」
(クリックHere)

子供の矯正治療をスタートする目安 その 2
「不正咬合に気が付いたとき」
(クリックHere)

なぜ歯並びを治した方が良いの?
歯並びを治すと色々と良いことが・・・(矯正治療のメリット)
(クリックHere)

歯並びが悪い(不正咬合)とは?
不正咬合の種類と問題点
(クリックHere)

photo 868

初診時、舌が上に挙がらないため、口蓋の発育が悪く深くて狭い上顎の形態をしています。歯槽骨の形態修正によって上顎が広がり前歯の萌出スペースが確保されました。また、マウスピース型の筋機能矯正装置(トレーナーシステム)により歯が筋肉のバランスのとれた位置に配列され、永久歯の犬歯の萌出スペースも確保されました。この事により八重歯になることが回避されます。

小児矯正(子供の矯正)咬合誘導 咬合育成 歯を抜かない非抜歯矯正 マウスピース型矯正装置

photo 869

初診時は、下顎の大きさも足りません。前歯がねじれて並ぶことができません。歯槽骨形態修正を行い下顎の大きさを広げ、その後トレーナーシステムで咬合誘導並び咬合育成を行いました。永久歯の犬歯のスペースも確保され綺麗な歯並びを達成する事が出来ました。

小児矯正(子供の矯正)咬合誘導 咬合育成 歯を抜かない非抜歯矯正 マウスピース型矯正装置

photo 870

反対のかみ合わせが改善し、乳歯が抜けて永久歯が萌出して歯が並んでいく様子をご覧下さい。

photo 871

反対のかみ合わせが改善し、乳歯が抜けて永久歯が萌出して歯が並んでいく様子をご覧下さい。

photo 872

反対のかみ合わせが改善し、乳歯が抜けて永久歯が萌出して歯が並んでいく様子をご覧下さい。

photo 873

反対のかみ合わせが改善し、乳歯が抜けて永久歯が萌出して歯が並んでいく様子をご覧下さい。
奥歯の乳臼歯が抜けて咬合高径が下がったため、やや下顎がオーバーローテーションを起こして、前方にシフトしてきました。この後も、被蓋が逆にならないように注意深く咬合誘導・咬合育成を行う必要があります。

photo 874

反対のかみ合わせが改善し、乳歯が抜けて永久歯が萌出して歯が並んでいく様子をご覧下さい。
奥歯の乳臼歯が抜けて咬合高径が下がったため、やや下顎がオーバーローテーションを起こして、前方にシフトしてきました。この後も、被蓋が逆にならないように注意深く咬合誘導・咬合育成を行う必要があります。

矯正症例集閲覧に当たって
顎の大きさを歯槽骨の形態修正によって大きく広げ、適切な咬合誘導・咬合育成を行えば、成長発育期の小児の場合、顎の骨の成長発育を促す事は出来ます。
また、顎骨や顎関節の成長発育が期待出来ない成人においても、ある程度までなら歯槽骨の形態修正によって顎を広げて、歯を並べるスペースを確保することができます。
但し、個人個人の顎の形態・大きさ・歯槽骨の幅・歯軸等は異なりますので、歯槽骨の形態修正には限界があります。
全ての症例が、非抜歯で矯正できるわけではありません。
現在当院では、「できるだけ歯を抜かない非抜歯矯正治療」を実践するために、最新の歯科用CTを導入し、歯の移動を制限する様々な解剖学要因(歯槽骨の幅・歯根の3次元的な位置・顎l骨の3次元的形態・歯根尖と切歯管の3次元的な位置関係等)を慎重に分析しています。

顎が小さくて歯が並ばない時の対処法
①顎を徐々に広げる側方拡大(歯槽骨形態修正)
②臼歯を後方移動
③歯の間をやすりで削り(最大で約0.5㎜)スペースを創るIPR(InterProximal Reduction)
④小臼歯を抜歯して歯を並べる
⑤急速拡大(上顎の正中口蓋縫合が未だ癒着していない小児の上顎を急速に広げ、縫合を開いて新生骨を添加する)
の5つの方法があります。
当院では主に①②③の方法を採用しています。
(上顎大臼歯に近心回転が認められる時は、その改善もスペース獲得には有効)

矯正治療には、いくつかのリスクと副作用が有ります。
矯正治療をお考えの方は、下記の記事をご参照ください。
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)

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