歯槽骨形態修正を行い顎を広げ歯を配列 album 172

顎の形は何処まで変えられるのか!
(歯槽骨形態修正の実際) その 51

今回は、顎が小さく歯槽骨形態修正を行い顎を広げ歯を配列して、小児矯正(1期治療)を終了した患者さんに発生した問題点について考えてみたいと思います。なぜか、一本だけ上の前歯がめり込んで上下の前歯に隙間が空いてしまったのです。その原因は、爪かみでした。この様に、歯並びやかみ合わせに影響を与える習癖(悪習癖)についてまとめてみます。

不正咬合を引き起こす悪習癖の代表例には、次の5つが挙げられます。

①爪をかむ(咬爪癖)
今回の一本だけ前歯が圧下して上下の前歯に隙間ができた原因です。叢生(歯がガタガタ)や開咬の原因にもなります。

②唇をかむ(咬唇癖)
これも出っ歯の原因になります。下唇が上の前歯と下の前歯の間に入ることで、上の前歯は外側に出て、下の前歯は内側に倒れ、出っ歯になります。

指しゃぶり(吸指癖)
「出っ歯と開咬」の原因となります。早い時期にこの悪習癖を改善しないとやがては骨格性の出っ歯と開咬になってしまいます。

④舌突出癖
つば(唾液)を飲み込む時、上と下の歯の間に舌を挟んで飲み込んでしまう癖です。異常嚥下癖です。当院では、この改善のためにトレーナーシステムを使用しています。

⑤頬杖
特に成長期の小児では、片側に持続的な力が加わると顔が曲がり顎変形症となる場合もあります。変形がひどい場合は外科矯正の適応となります。

⑥口呼吸
安静時は、口呼吸ではなく鼻呼吸が理想的な呼吸法です。この頃は、特に鼻に鼻炎等の問題がなくても習慣性の口呼吸が見られる小児が増えてきました。この要因として、口腔周囲筋のアンバランスが上げられます。特に舌が口蓋の正しい位置になく、後下方に位置し舌根が沈下していると息苦しく、口呼吸を誘発したり睡眠障害の要因ともなります。また、舌が上がらないことで歯列の外側(頬側)からの圧力と内側(舌側)からの圧力のバランスが崩れ、歯列が尖形となり出っ歯や叢生の原因になります。
当院では、口呼吸から鼻呼吸への切り替えのため、MFT(口腔筋機能療法)を取り入れて矯正治療と併用して行っています。
それでは実際の症例をご覧下さい。

<追伸>
当院の「歯を抜かない矯正歯科の症例写真」です。
このalbumシリーズのコンセプトはalbum1に掲載しています。

歯列矯正治療をお考えの方、是非ご覧ください。
「albumシリーズのコンセプト(2019年3月17日掲載)」

<参考>

歯並びが悪い(不正咬合)とは?
不正咬合の種類と問題点
(クリックHere)

なぜ歯並びを治した方が良いの?
歯並びを治すと色々と良いことが・・・(矯正治療のメリット)
(クリックHere)

子供の矯正治療をスタートする目安 その 1
「生え代わりの時期が来ても、上顎の乳前歯の間に隙間(発育空隙)がない時」
(クリックHere)

子供の矯正治療をスタートする目安 その 2
「不正咬合に気が付いたとき」
(クリックHere)

photo 875

初診時、生え代わりの時期になっても上顎に発育空隙が足りません。顎の大きさに対して歯が大きいので歯槽骨の形態修正を行い顎を広げました。その後前歯を配列して一次治療を終了しました。更に通院が可能であるとのことから継続してトレーナーシステムで咬合誘導・咬合育成を行いました。小学校6年生で犬歯が萌出し八重歯になりそうでしたが、筋機能矯正装置を使い続けたところ何とか犬歯は並びました。ところが中学生になり環境変化のストレスのためか爪かみが始まり、左上の中切歯がめり込んで上下の歯の間に隙間ができてきました。爪かみを止めるように指導したところ、自然に圧下された前歯が元の位置へ戻ってきました。

小児矯正(子供の矯正)咬合誘導 咬合育成 歯を抜かない非抜歯矯正 八重歯矯正

photo 876

顎の大きさを拡大して前歯を並べた後、トレーナーシステムで咬合誘導並びに咬合育成を行いました。トレーナーシステムは筋機能矯正装置であり筋肉のバランスを改善する事により、筋肉のバランスのとれた位置に自然に歯が並んでいく素晴らしい装置であると思います。但し、毎日しっかり使用しないと全く効果が見られません。その場合はワイヤー矯正またはインビザラインで2期治療を行います。

photo 877

下の顎も小さく歯が並びません。歯槽骨形態修正をして前歯を並べその後トレーナーシステムで全ての永久歯が生えかわるまで咬合誘導・咬合育成を行いました。

photo 878

筋機能矯正装置で、筋肉のバランスのとれた位置へ歯と顎が移動して行く様子をご覧下さい。

photo 879

筋機能矯正装置で、筋肉のバランスのとれた位置へ歯と顎が移動して行く様子をご覧下さい。
八重歯が自然に改善して行きます。

photo 880

筋機能矯正装置で、筋肉のバランスのとれた位置へ歯と顎が移動して行く様子をご覧下さい。

photo 881

筋機能矯正装置で、筋肉のバランスのとれた位置へ歯と顎が移動して行く様子をご覧下さい。

 

矯正症例集閲覧に当たって
顎の大きさを歯槽骨の形態修正によって大きく広げ、適切な咬合誘導・咬合育成を行えば、成長発育期の小児の場合、顎の骨の成長発育を促す事は出来ます。
また、顎骨や顎関節の成長発育が期待出来ない成人においても、ある程度までなら歯槽骨の形態修正によって顎を広げて、歯を並べるスペースを確保することができます。
但し、個人個人の顎の形態・大きさ・歯槽骨の幅・歯軸等は異なりますので、歯槽骨の形態修正には限界があります。
全ての症例が、非抜歯で矯正できるわけではありません。
現在当院では、「できるだけ歯を抜かない非抜歯矯正治療」を実践するために、最新の歯科用CTを導入し、歯の移動を制限する様々な解剖学要因(歯槽骨の幅・歯根の3次元的な位置・顎l骨の3次元的形態・歯根尖と切歯管の3次元的な位置関係等)を慎重に分析しています。

顎が小さくて歯が並ばない時の対処法
①顎を徐々に広げる側方拡大(歯槽骨形態修正)
②臼歯を後方移動
③歯の間をやすりで削り(最大で約0.5㎜)スペースを創るIPR(InterProximal Reduction)
④小臼歯を抜歯して歯を並べる
⑤急速拡大(上顎の正中口蓋縫合が未だ癒着していない小児の上顎を急速に広げ、縫合を開いて新生骨を添加する)
の5つの方法があります。
当院では主に①②③の方法を採用しています。
(上顎大臼歯に近心回転が認められる時は、その改善もスペース獲得には有効)

矯正治療には、いくつかのリスクと副作用が有ります。
矯正治療をお考えの方は、下記の記事をご参照ください。
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)

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