筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いた咬合誘導・咬合育成について album 192

今回は、筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いた咬合誘導・咬合育成について紹介します。
歯並びの安定にとって、とても大切なのは口腔の周囲に有る筋肉のバランスが整っている事と考えています。例えば、歯列の内側からアーチを支える舌の筋肉に対して外側からの作用する筋肉の力が強すぎると歯並びのアーチは潰され凸凹になります。それでは、前歯の歯並びを気にして来院した9歳の小児に筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いて、全ての永久歯が口腔周囲の筋肉の内外のバランスが取れた位置に配列されまで咬合育成・咬合誘導した症例をご覧下さい。当院では、筋機能矯正装置と併用して口腔筋機能療法(MFT)を行い唇を閉じる筋肉と舌を挙げる筋肉を整えるようにしています。

<補足>
口腔筋機能療法(MFT)とは?
歯並びや咬み合わせの形成には、遺伝だけでなく幼少期の生活習慣や癖なども大きな影響を及ぼしています。舌突出癖や指しゃぶりが開咬や上顎前突を招くほか、アレルギー性鼻炎などによる口呼吸の習慣が、お口周りの筋肉の弛緩につながることもあります。口腔筋機能療法(MFT)は、こうした後天的な筋肉の不調和を舌や口唇、頬などの口腔顔面筋のトレーニングを通して整えていく療法です。咀嚼時、嚥下時、発音時、安静時の舌や唇の位置の改善、および呼吸をはじめとした口腔機能の改善効果が期待できます。(口腔筋機能療法(MFT)学会HPより引用)

<参考1>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)
「顎が小さくて歯が並ばない時の対処法」(クリックHere))

<参考2>MRC(Myofunctional Research Co.)のDVDから引用

前歯は僅か1.7グラムの弱い力が持続的に作用すると動いてしまいます。それに対して下唇は100~300グラムの力、舌は500グラム以上の力を作用させるのです。従って、前歯の歯並びを維持するためには下唇と舌の力のバランスが取れた位置に歯を並べる必要があるのです。


図1 MRC(Myofunctional Research Co.)のDVDから引用して改変
歯列の内側(舌側)から歯列の形をサポートする舌の筋肉の働きが、外側(頬側または唇側)からの筋肉の作用に対して弱いと歯並びは潰されて狭くなり凸凹になります。


図2 MRC(Myofunctional Research Co.)のDVDから引用して改変
歯列の内側(舌側)からのサポートがしっかりしていて、外側(頬側または唇側)の筋肉の力とバランスが取れた状態・・・このためには、舌の位置が大切です。舌の正しい位置とは、舌の先が上の前歯を後ろから押すことなくすぐ後ろの歯肉に触れていて、奥舌が上アゴに吸盤のように吸着している状態をいいます。その位置を「スポットポジション」と言います。例えば口呼吸の人は、何時も口がぽかんと開いた状態で舌が口蓋の歯肉から離れているため内側からの歯列を支えることが出来なくなり歯並びのアーチが潰され前歯が出っ歯になります。当院では、舌のポジションを覚えて貰うために筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を使用しています。舌の正しい位置を維持するためには、唇を軽く閉じ鼻呼吸をする事が大切となります。また、舌を挙げる筋肉が弱い患者さんは、口腔筋機能療法(MFT)を行い舌の筋肉を鍛える必要もあります。


図3 口腔周囲筋 MRC(Myofunctional Research Co.)のDVDから引用

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筋機能矯正装置(トレーナーシステム)の使用と口腔筋機能療法(MFT)のみで口呼吸から鼻呼吸へ導き顎の成長発育をコントロールする事により自然でキレイな歯並びを獲得することが出来ました。
(顎と顎間接の成長発育が期待出来る9歳から14歳までの期間の歯並びの変化)

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筋機能矯正装置(トレーナーシステム)の使用と口腔筋機能療法(MFT)のみで深すぎる咬み合わせ(過蓋咬合)と出っ歯(上顎前突)が改善されました。

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筋機能矯正装置(トレーナーシステム)の使用と口腔筋機能療法(MFT)のみで深すぎる咬み合わせ(過蓋咬合)と出っ歯(上顎前突)が改善されました。

photo 1009

筋機能矯正装置(トレーナーシステム)の使用と口腔筋機能療法(MFT)のみで深すぎる咬み合わせ(過蓋咬合)と出っ歯(上顎前突)が改善されました。

<補足>
矯正治療には、いくつかのリスクと副作用が有ります。
矯正治療をお考えの方は、下記の記事をご参照ください。
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)

 

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