下の前歯(側切歯)がねじれて内側から出てきたことが心配で来院された小学校2年生の小児 album 196
今回の症例は、下の前歯(側切歯)がねじれて内側から出てきたことが心配で来院された小学校2年生の小児です。
矯正学的な問題点は
①上下顎叢生(顎が小さく歯が並ぶためのスペースが足りない)
②永久歯の犬歯が並ぶ為のスペースが足りないので八重歯になる可能性がある
③かみ合わせが深すぎる(過蓋咬合)・・・下顎と顎関節の正常な成長発育が阻害され、出っ歯(上顎前突)や顎関節症になる可能性がある。
以上の問題点を解決するための1期治療の計画は
①取り外しが出来る(可撤式の)拡大床で歯槽骨の形態修正を行い、上下顎ともに顎を広げて大きくする
②2×4のワイヤー矯正治療で奥歯のかみ合わせ(咬合平面)と奥歯のかみ合わせの高さ(咬合高径)を適正化し下顎の前方成長を促す
③上顎の永久歯の犬歯が並ぶスペースを確保するためにワイヤー矯正で奥歯を後方移動する
④1期治療終了後は筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を使用して更なる咬合誘導・咬合育成を継続して行う。その後、更なる治療が必要ならば2期治療を行う。
それでは、実際の治療をご覧下さい。
「顎が小さくて歯が並ばない時の対処法」(クリックHere))
photo 1033
顎の形が尖形で理想的なかみ合わせを作ることが出来ない。そこで拡大床を用いて歯槽骨の形態修正を行いました。その後、2×4システムのワイヤー矯正治療を行い咬合平面を適正化し奥歯を後方移動しました。その結果、十分な永久歯の犬歯の為のスペースを確保することが出来ました。(八重歯になるリスクを回避)
photo 1034
下顎も小さく永久歯の前歯4本が並ぶ為のスペースが足りません。そこで、拡大床を用いて歯槽骨の形態修正を行い顎の大きさを広げました。その後は舌側にスプリングが付いた仕上げの装置で前歯の歯並びを整えリテーナーとしても使用しました。
photo 1035
咬合高径と咬合平面を適正化する事により深い咬み合わせが改善され、後方に押し込められていた下顎が前方に成長発育していく様子をご覧下さい。
photo 1036
咬合高径と咬合平面を適正化する事により深い咬み合わせが改善され、後方に押し込められていた下顎が前方に成長発育していく様子をご覧下さい。
photo 1037
深すぎる咬み合わせが改善してバランスの取れた歯並びを得る事が出来ました(1期治療終了)。この後、全ての乳歯が抜けるまで筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いて継続治療を行い、口腔の筋肉のバランスを整え安定した歯並びを目指していきます。
<補足>
矯正治療には、いくつかのリスクと副作用が有ります。
矯正治療をお考えの方は、下記の記事をご参照ください。
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)