矯正歯科治療のリスクを軽減するための取り組み album 211
どんな治療にも必ずリスクは存在します。矯正歯科治療においても同様です。100%安全な歯科矯正治療はありません。そのリスクは、治療の介入が多いほど高まります。その為、できる限り矯正歯科治療の介入も少なくしたいと考えています。しかし、重度の不正咬合は抜歯や顎切り(外科矯正)をせざるえないケースもあります。
そこで、当院では子供の小児矯正を出来るだけ早期にスタートさせ、不正咬合が重度の骨格的な問題に発展しないように歯科矯正学的な介入を行って、正常な顎の発育を誘導するようにしています。その事により、出来るだけ矯正歯科治療のリスクを軽減し、患者様の矯正歯科治療に対する肉体的精神的苦痛を少なく出来ると考えています。
今回の症例は、初診時、下の前歯の歯並びを気にして来院した7歳の小児の患者さんです。
矯正学的問題点は
①上下顎叢生・・・上下共に顎の大きさが小さく全ての永久歯が綺麗に並ぶスペースが足りません
②下顎の後退・・・下顎の位置が後方に押し込められ、出っ歯(上顎前突)になる可能性が高い
③過蓋咬合・・・かみ合わせが深すぎるため顎の関節に過度な負担が加わり顎関節症のリスクがあります
④側切歯交叉咬合・・・左上の側切歯のかみ合わせが反対(放置すると下顎のスムーズな動きを阻害するために顎の関節に負担が加わるだけではなく咀嚼障害、発音障害、顎偏位、顎変形症等を引き起こす場合があります。
⑤八重歯・・・乳犬歯が抜けて永久歯の犬歯が萌出するときに十分なスペースが足りないと八重歯になります
それでは実際の治療をご覧下さい。
<参考>
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)
子供の矯正治療をスタートする目安 その 2
「不正咬合に気が付いたとき」
(クリックHere)
治療前後の顎の大きさをご覧下さい。正常な顎の成長発育を誘導することが出来ました。
奥歯のかみ合わせの高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化し上顎前突と過蓋咬合を改善しました。
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主訴の凸凹な前歯の歯並びを改善しながら、下顎の前方成長を誘導して非抜歯で永久歯を配列することが出来ました。
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過蓋咬合。上顎前突、上顎左側側切歯交叉咬合が改善され、筋矯正装置(トレーナーシステム)によって筋肉のバランスが保たれた位置に歯が配列されました。
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咬合高径と咬合平面の適正化並びに顎の成長発育により自然に永久歯犬歯が治り下顎前方に発育していく様子をごらんください。
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左上の側切歯の交叉咬合が改善し、永久歯の犬歯が八重歯になることなく自然に配列されていく様子をご覧ください。
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下顎の前方成長が促され上顎前突が改善されていきます。
photo 1126
下顎の前方成長が促され上顎前突が改善されていきます。