子供の小児矯正において大切なのは、不正咬合の遺伝的な要因を除くコントロール可能な機能的・環境的な要因などをしっかり制御して正常な顎の発育を導くことにあると考えます。不正咬合の治療は骨格的な問題に発展してしまえば、それだけ治療が長期に及び複雑で困難な矯正歯科治療をする必要が生じそれに伴いリスクも増加します。
理想的には何もしなくても自然に機能的で美しい歯並びになる人のように、出来るだけ早期から咬合誘導・咬合育成を行い口腔周囲筋のバランスを整え最小限度の矯正歯科治療の介入で個性正常咬合を確立したいものです。
<個性正常咬合と歯>
歯の大きさ、形、大きさのバランス、骨との関係、それぞれに個性があります。従って、必ずしも理想的な咬合が実現できるわけではありません。各個人が持つ様々な条件の中で最善のかみ合わせを「個性正常咬合」といい、矯正治療の目標となります。
初診時、前歯の並びを気にして来院した9歳の小児です。当院で、1期治療終了後も筋機能矯正装置を用いて咬合誘導・咬合育成を行い個性正常咬合を確立する事が出来ました。
それでは実際の治療をご覧下さい。
<参考>
筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いた咬合誘導・咬合育成について
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1期治療の終了後継続して通院が可能という事なので、筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を使用しながら筋肉のバランスを考慮した位置への歯の再配列を行っています。その際、口腔筋機能療法(MFT)を併用しています。経過を見ていくと5年生ぐらいに上の犬歯が萌出して八重歯になりかけましたが、1期治療で十分な犬歯の萌出スペースを確保していますので自然に改善しました。
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1期治療において永久歯の犬歯の萌出スペースを確保しておくことはとても大切と考えています。この事により八重歯を予防することが出来ます。
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下顎の正常な発育を促す治療により、全ての永久歯が非抜歯で綺麗に並びました。
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永久歯の犬歯の萌出スペースを確保していることにより自然に犬歯が収まりかみ合わせが安定しました。
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永久歯の犬歯の萌出スペースを確保していることにより自然に犬歯が収まりかみ合わせが安定しました。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)