深い咬み合わせ(過蓋咬合)を気にする人は少ないのですが、実は・・・album 216

今回は、下の前歯の歯並びを気にして来院した8歳の小児の治療についてお話しします。下の写真をご覧下さい。

下の4本の前歯が凸凹です。これだけを見ると治療は簡単と思われるかも知れませんが、実はこの前歯が並ばない原因が問題です。通常は上下の歯の咬み合わせは上の歯が下の歯を2㎜程度覆います。しかし、この症例では4㎜程覆っています。この深い咬み合わせによって下の前歯が後方に押し込まれ凸凹のかみ合わせを引き起こしています。従って、下の前歯を並べるためには顎の大きさを広げるだけでは直ぐに元に戻ってしまいます。

<深い咬み合わせ(過蓋咬合)の弊害>
①顎関節が圧迫され過剰な負担が加わり、顎関節症を引き起こす原因となる恐れがあります。
②下の前歯が上顎の前歯や歯肉部分当たりにくい込むため、歯肉を傷つけ食事の時に痛みが出たり、上の歯を圧迫して出っ歯(上顎前突)になりやすくなります。また、下の前歯が舌側に押し倒され凸凹な歯並び(叢生)を引き起こす場合があります。
③深い咬み合わせに口腔の容積が減少し舌の動きを制限する為、発音が不明瞭になる場合があります。

<当院の治療計画>
①奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化し過蓋咬合を改善し、後方の押し込まれた下顎を前方に移動させ下の前歯の歯並びを改善する。
②咬み合わせが深すぎ、上の前歯の歯軸が舌側に倒れている事により下顎の動きがかなり制限され顎関節に異常な力が加わっています。従って、このまま放置すると顎関節の機能異常を起こす可能性があります。奥歯のかみ合わせ(咬合高径)を適正化して、更に上の前歯の歯軸を唇側に傾ける事により、下顎と顎関節の成長を促し顎関節症の発症リスクを軽減する。
それでは治療前後の写真をご覧下さい。

<参考>

photo 1155

深い咬み合わせ(過蓋咬合)が改善されていく様子をご覧下さい。ワイヤー矯正治療の後に、舌のポジションと異常嚥下癖の改善のため筋機能矯正装置を用いて治療を行っています。MFT(筋機能療法)も併用しています。

photo 1156

咬合高径と咬合平面を適正化して、下顎と顎関節の成長発育を誘導しています。

photo 1157

咬合高径と咬合平面を適正化して、下顎と顎関節の成長発育を誘導しています。

photo 1158

下顎の動きを抑制している上顎の前歯の歯軸と深い咬み合わせ(過蓋咬合)が改善される様子をご覧ください。

photo 1159

下顎の動きを抑制している上顎の前歯の歯軸と深い咬み合わせ(過蓋咬合)が改善される様子をご覧ください。

photo 1160

永久歯の犬歯が並ぶようにワイヤー矯正で奥歯を後方移動してスペースを創っています。自然に犬歯が並んでいく様子をご覧下さい。歯は筋肉のバランスがとれた位置へ移動します。

photo 1161

主訴の下の前歯の歯並びを改善しました。筋機能矯正装置により筋肉のバランスがとれた位置へ歯が移動して行く様子をご覧下さい。

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

過去の症例はこちら

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