子供の出っ歯(上顎前突)で最も大切な事は顎を育てること  album 215

今回は、出っ歯を気にして来院した9歳の小児の症例を通して子供の出っ歯(上顎前突)で最も難しく大切な事についてお話したいと思います。出っ歯の治療というと如何しても上顎の前歯を凹ませることに気が取られがちですが、実は下顎を前方に発育させ位置づけることが大切です。下顎の成長発育が望める子供の時期にしか出来ない治療となります。期間限定です。この時期を逃せば歯を抜かない非抜歯矯正で出っ歯を改善する事は困難になる場合があります。また、遺伝的な要因で上顎骨の過剰な前方発育が原因の骨格性上顎前突は抜歯矯正や外科矯正を選択しなければ改善が望めないこともあります。日本人の場合、出っ歯の多くは上顎骨の過剰発育による子供は少ないように思われます。下顎の前方成長が足りないため、上顎骨が過剰発育していないにも拘わらず相対的に出っ歯(上顎前突)になっている場合、出っ歯の原因は上顎骨にはありません。それなのに成長発育が正常である上顎の歯を抜歯して前歯だけを凹ませる治療は余り望ましいとは考えていません。身長も伸びる成長発育が望める子供の時期に下顎を前方に十分発育させることが重要と考えます。

下顎の成長発育が望める子供の時期に4年かけて、筋機能矯正装置によって下顎を前方に成長発育させることにより出っ歯(上顎前突)を改善しました。
それでは実際の治療をご覧下さい。

<参考>

 

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乳歯と永久歯が混在する時期に1期治療を行い舌が収まる上顎のスペースを確保し、口呼吸から鼻呼吸への変換を促しました。その為には十分な筋トレ(MFT 筋機能療法)を併用しています。また、下顎の前方成長を阻害する要因を排除する為、奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する治療を行っています。その後、筋機能矯正装置(トレーナーシステム)により、舌の正しい位置を習得させ異常嚥下癖と口腔周囲筋のバランスをを改善し、下顎を前方に成長発育させるように咬合誘導・咬合育成をしています。

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下顎が前方に成長発育し、出っ歯が改善して行く様子をご覧下さい。

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1期治療で永久歯の犬歯のためのスペースを確保していますので、自然に八重歯になることなく歯が並んでいく様子をご覧下さい。奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎が前方に誘導されて発育する様子をご覧下さい。

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1期治療で永久歯の犬歯のためのスペースを確保していますので、自然に八重歯になることなく歯が並んでいく様子をご覧下さい。奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎が前方に誘導されて発育する様子をご覧下さい。

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奥歯のかみ合わせ(咬合平面)に左右差が見られます。左右差を改善するために咬合平面を適正化しています。左側の奥歯の乳歯が先に抜けて左側の奥歯の高さが右側に対して高くなり、下顎が低い右側にずれてきました。しかし、左側の奥歯の乳歯が抜けて左側のかみ合わせの高さ(咬合高径)が改善されましたので、今後下顎が左側にずれて正中があってくると考えられます。

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乳臼歯は左右同じ時期に抜けるとは限りません。このケースでは右側の顎の成長発育が左側より優性で先に右側の乳臼歯が抜けたため右側の咬合高径が一時的に左側より低くなりました。この事が原因で、下顎が一時的に右側にずれてくる事があります。筋機能矯正装置を根気強く使用して行くことにより改善すると思われます。

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個々の歯の問題は多少有りますが、下顎の十分な成長発育を誘導することが出来ました。希望があれば二期治療で仕上げの治療を行って行きます。現在当院では、ワイヤー矯正で仕上げる場合よりも透明で目立たないマウスピース型矯正装置(インビザライン)での治療が多くなってきました。

 

<参考>

「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)

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