今回は、出っ歯を気にして来院した小学校2年生の小児の症例です。ワイヤー矯正はしたくないとの事でしたので、取り外しが可能なマウスピース型矯正装置(筋機能矯正装置)を使用して矯正治療を始めることにしました。この装置は毎日夜に装着して使用しますが、起きているときに意識して舌を挙げ唇を閉じるトレーニングを1から2時間ぐらいすることがポイントです。口腔周囲筋のバランスが整うまでは夜に外れやすいので大変ですが、口を閉じる筋肉と舌を挙げる筋肉がついてくると朝まで入っているようになります。こうなると下顎のポジションは日々改善され個々の歯も筋肉のバランスが良いところへ移動して行きます。上下顎の成長発育期にある小児は、適正な咬合誘導・咬合育成により劇的に変化する場合があります。筋機能矯正装置は小児の適応能力の高さを活かす素晴らしい矯正治療装置と言えます。但し、適切な使用法で毎日継続・毎日使用しなければ全く効果はありません。それでは実際の治療経過をご覧下さい。
<参考>
筋機能矯正装置(トレーナーシステム)は、青い矢印の丸い出っ張り(スポット)に舌を上顎の口蓋に持ち上げ触るように維持して、唇を閉じるだけで効果が出ます。就寝時にずっと外れないで装着できるようになると、歯が筋肉のバランスがとれた位置に移動し歯並びの狭いアーチも拡大され矯正効果が期待出来ます。就寝時に装置を装着したら出来るだけ鼻呼吸を意識してお休み下さい。下顎が前方に誘導され喉の奥の気道が広がり鼻呼吸が楽に出来るようになります。
筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いた咬合誘導・咬合育成について
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治療開始から4ヶ月ほどで上の前歯が後退し、下顎が前方に適応する事が出来ました。
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治療開始から4ヶ月ほどで上の前歯が後退し、下顎が前方に適応する事が出来ました。
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下顎が左に1ミリずれ(顎偏位)ていましたが、4ヶ月ほどで下顎が正しい位置に移動して改善しました。また上顎の側切歯の歯軸は内側に向いていましたが歯根が外側に移動してまっすぐになってきました。
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上顎の大きさが小さいため側切歯が並ぶスペースが足りません。しかし、4ヶ月ほどの筋機能矯正装置の使用により重なりが取れて並んで来ました。
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下顎の歯の位置は余り変化ありませんが、後退した下顎の位置が前方に適応して出っ歯が改善しました。
<参考>
「矯正症例集閲覧に当たって」(クリックHere)