顎が小さく全ての歯が綺麗に並びそうにない album 168

顎の形は何処まで変えられるのか!
(歯槽骨形態修正の実際) その 47

今回は、顎が小さく全ての歯が綺麗に並びそうにない小児の患者さんの顎を歯槽骨の形態修正で拡大した後、当院が行っている咬合誘導・咬合育成(1期治療)についてお話ししたいと思います。
咬合誘導とは、本来子供の持っている成長発育力を利用して不正咬合を治療し正しい歯並びやかみ合わせを誘導することです。多くの小児は、大人と違いとても適応能力が高くかみ合わせの変化に直ぐに対応することができます。しかし、その能力にも限界があると考えています。その為、顎や顎関節の成長発育を正常に導くためには、適切な時期に適切な介入をするこことが有効であると考えています。
主に当院が行っていることは、
①舌が上顎の口蓋の正しい位置に収まるための十分な大きさの確保(歯槽骨形態修正による上顎の拡大)
②抜歯すること無く親知らずを除く全ての永久歯を並べる為のスペースの確保(歯槽骨形態修正による上下顎の拡大)
③奥歯のかみ合わせの高さ(咬合高径)の適正化
④顎運動を考慮した奥歯のかみ合わ(咬合平面)の適正化
⑤歯列の外側(頬側)と内側(舌側)からの筋肉のバランスを整えるための口腔筋機能療法(MFT)
⑥正しい呼吸法(鼻呼吸)の習得(リップシールド)
⑦食事指導(一口30回)
等です。
それでは実際の咬合誘導の治療を見ていきましょう。
今回の症例の主訴は、「下の永久歯の前歯が並ばない」ということです。

<追伸>
当院の「歯を抜かない矯正歯科の症例写真」です。
このalbumシリーズのコンセプトはalbum1に掲載しています。

歯列矯正治療をお考えの方、是非ご覧ください。
「albumシリーズのコンセプト(2019年3月17日掲載)」

<参考>

子供の矯正治療をスタートする目安 その 1
「生え代わりの時期が来ても、上顎の乳前歯の間に隙間(発育空隙)がない時」
(クリックHere)

子供の矯正治療をスタートする目安 その 2
「不正咬合に気が付いたとき」
(クリックHere)

なぜ歯並びを治した方が良いの?
歯並びを治すと色々と良いことが・・・(矯正治療のメリット)
(クリックHere)

歯並びが悪い(不正咬合)とは?
不正咬合の種類と問題点
(クリックHere)


photo 850

初診時、下の中切歯が萌出していましたが、間もなく上顎の中切歯も萌出してくる時期です。永久歯の交換時期になっても乳歯列に隙間がありません。この様な場合永久歯は乳歯より大きくきれいに生え代わるため、生え代わりの時期が早い下の4本の前歯では5mm以上、上の4本の前歯では7mm以上の幅が不足する事になります。先ず、取り外しの拡大床で上顎の大きさを広げ永久歯の前歯が並ぶスペースを確保しました。その後、マウスピース型矯正装置(トレーナーシステム)で咬合誘導・咬合育成(1期治療)を行いました。その結果、左右とも永久歯の犬歯が並ぶ為のスペースが若干足りません。このままで八重歯になってしまいます。今後、経過を見て改善が見られないときは、ワイヤー矯正で第一大臼歯を後方移動する必要があるかも知れません。

小児矯正(子供の矯正)咬合誘導 咬合育成 歯を抜かない非抜歯矯正 1期治療 2期治療

photo 851

永久歯の前歯を並べるために、歯槽骨の形態修正を施し下顎を広げトレーナーシステムで咬合誘導・咬合育成を行いました。

小児矯正(子供の矯正)咬合誘導 咬合育成 歯を抜かない非抜歯矯正 1期治療 2期治療

photo 852

左下の乳犬歯と左上の乳犬歯のかみ合わせが反対(交叉咬合)です。その為、下顎が左に約1㎜ずれています。咬合誘導・咬合育成によって上下の正中のずれを改善する事が出来ました。但し、八重歯になりそうです。このまま経過を見て改善が見られないときはワイヤー矯正による2期治療が必要となることを説明しました。

photo 853

下顎の成長発育が上顎に比べ大きく、反対咬合の傾向が見られます。このまま経過を観察して、場合によっては2期治療で仕上げが必要となる可能性があります。

photo 854

下顎の成長発育が上顎に比べ大きく、反対咬合の傾向が見られます。このまま経過を観察して、場合によっては2期治療で仕上げが必要となる可能性があります。

矯正症例集閲覧に当たって
顎の大きさを歯槽骨の形態修正によって大きく広げ、適切な咬合誘導・咬合育成を行えば、成長発育期の小児の場合、顎の骨の成長発育を促す事は出来ます。
また、顎骨や顎関節の成長発育が期待出来ない成人においても、ある程度までなら歯槽骨の形態修正によって顎を広げて、歯を並べるスペースを確保することができます。
但し、個人個人の顎の形態・大きさ・歯槽骨の幅・歯軸等は異なりますので、歯槽骨の形態修正には限界があります。
全ての症例が、非抜歯で矯正できるわけではありません。
現在当院では、「できるだけ歯を抜かない非抜歯矯正治療」を実践するために、最新の歯科用CTを導入し、歯の移動を制限する様々な解剖学要因(歯槽骨の幅・歯根の3次元的な位置・顎l骨の3次元的形態・歯根尖と切歯管の3次元的な位置関係等)を慎重に分析しています。

顎が小さくて歯が並ばない時の対処法
①顎を徐々に広げる側方拡大(歯槽骨形態修正)
②臼歯を後方移動
③歯の間をやすりで削り(最大で約0.5㎜)スペースを創るIPR(InterProximal Reduction)
④小臼歯を抜歯して歯を並べる
⑤急速拡大(上顎の正中口蓋縫合が未だ癒着していない小児の上顎を急速に広げ、縫合を開いて新生骨を添加する)
の5つの方法があります。
当院では主に①②③の方法を採用しています。
(上顎大臼歯に近心回転が認められる時は、その改善もスペース獲得には有効)

矯正治療には、いくつかのリスクと副作用が有ります。
矯正治療をお考えの方は、下記の記事をご参照ください。
「矯正歯科治療で生じうるリスクや副作用について」(クリックHere)

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