出っ歯(上顎前突)改善のために小児矯正治療で何をすべきか album 277
今回は、出っ歯を気にして来院した小学校2年生の小児の症例です。上顎と下顎と顎関節が成長発育期にある小児において、出っ歯(上顎前突)を改善する為にどのような矯正治療が望ましいか考えてみたいと思います。
何歳の段階で、それぞれの臓器がどういう発育状態にあるのかを示したグラフ。上の図をご覧下さい。人の臓器が何歳でどういう発育状態にあるかを示した有名なグラフです。20歳になった段階の臓器の成長量を100%とし、それぞれの年代で成長の目安を知る事が出来ます。上顎の発育は神経型の発育をすると言われています。従って、ほぼ10歳位でピークに達しそれ以降はあまり成長発育がみられないことが分かります。それに対して下顎の発育は一般型に属していますのでS字カーブを描き小学校の6年間はあまり強い成長はみられず13歳位から再び急激な発育が起こる事が分かります。女の子の場合、下顎は14歳位で発育のピークを迎えますが、男の子の場合は18から20歳ぐらいまで成長発育します。また、上下顎共に矯正治療によって咬合誘導・咬合育成が可能な年齢は個人差もありますが3歳から4歳位と思われます。当院では、反対咬合の治療を一般型に属する下顎の成長発育の大きな3歳位から筋機能矯正装置(ムーシールド等)を使用して発育をコントロールするようにしています。反対咬合の治療は、下顎の成長発育の特徴を踏まえ早い時期からスタートし、出来るだけ長期に下顎の成長発育を考慮(女の子は14歳位、男の子は18から20歳ぐらいまで)し治療計画を建てて取り組んでいます。
それでは再び上のグラフをご覧下さい。この成長曲線によると、上顎は10歳以降ほとんど大きくなりません。この事は上顎が小さくて歯が綺麗に並ばないお子様の場合、個人差はありますが上顎の成長発育を考慮すると小学校4年生ぐらいまでに発育を阻害する要因を除去して大きく育てる事がとても大切であると言えます。上顎の狭い歯並びのアーチは、出っ歯(上顎前突)を引き起こす原因となる場合があります。従って、当院では取り外しの拡大床で出来るだけ早期に狭い上顎の大きさを拡大し、舌尖が口蓋の正しい位置(スポット)に添うように収まるよう舌の挙上訓練を始めとした口腔筋機能療法(
それでは実際の治療経過をご覧下さい。
<参考>
筋機能矯正装置(トレーナーシステム)を用いた咬合誘導・咬合育成について
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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎と顎関節の成長を促す事が出来ました。
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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎と顎関節の成長を促す事が出来ました。
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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎と顎関節の成長を促す事が出来ました。
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奥歯の高さ(咬合高径)と奥歯のかみ合わせ(咬合平面)を適正化する事により、下顎と顎関節の成長を促す事が出来ました。
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舌が上顎の正しい位置に収まる事が出来るように、拡大床で歯槽骨形態修正を行っています。その後、筋機能矯正装置で筋肉のバランスを整え異常な嚥下癖の改善を試みました。
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狭い上顎は大きく広がり、前歯の凸凹が改善しました。
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後下方に押し込められた下顎を前方に適応させ、頤筋の過緊張も改善出来ました。
<参考>