小児矯正における咬合誘導・咬合育成の実際【album 378】

下の前歯が凸凹していることが気になり来院した小学校2年生の患者さんです。顎の成長発育が悪くこのままでは全ての永久歯が綺麗に並ぶことはありません。そこで萌出している前歯の大きさから目標とする顎の大きさを決め上下顎を取り外しの拡大床で広げました。また、咬合力が弱い骨格でしたのでチューブを用いたトレーニングと舌の挙上トレーニングを併用し、安定した口腔周囲筋と歯列のバランスがとれる安定した位置に歯が配列されるように咬合誘導・咬合育成を行う事にしました。それでは実際の治療経過をご覧下さい。

<参考>

子供の矯正歯科治療で安定したかみ合わを得るには筋トレが大切 album 213

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取り外しの拡大床で顎の大きさを広げ機能的で安定した咬合を構築する為、口腔筋機能療法(MFT)を併用して行いました。顎や顎関節の発育が見込める小児の場合、正常な発育を誘導する事はとても大切です。

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下顎と同様に顎の大きさが小さいため拡大床で歯槽骨形態修正を施しました。また、安定した咬合を構築する為に、口腔筋機能療法(MFT)を併用して行いました。

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噛む力が弱いハイアングルの骨格のため咬筋を鍛えるトレーニングを併用して行いましたが、中々咬み合わせが深くならず不安定な咬み合わせです。骨格は遺伝的な要因が大きいので変えることは難しいのですが、ある程度までなら筋肉を鍛えることにより強くすることが出来ます。咬み合わせが安定するまで諦めずにトレーニングを継続して、しっかりよく噛んで食事をすることが大切です。

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顎関節や奥歯に負担がかからない安定した咬み合わせである1級関係で犬歯誘導を達成するために咬合誘導・咬合育成を行っています。

<犬歯誘導について>
食べ物を噛む時に奥歯を上下にかみ合わせるだけではなく左右に動かして咀嚼します。その時、正常な咬み合わせ(1級関係)なら上下に噛む時は全ての歯が咬み合っていますが、顎を左右に動かしたときには上下の犬歯がかみ合って奥歯がかみ合わない状態なります。この様に顎を左右に動かしたときに犬歯だけが咬み合って奥歯が噛んでない状態となる咬み合わせを犬歯誘導と言います。奥歯は、縦方向の噛む力にはとても強いのですが、横方向に力がかかると比較的弱いという特徴があります。もし犬歯誘導がないと奥歯がかみ合って横方向の力が加わり歯を支える歯槽骨が吸収して歯周病を発症する事もあります(咬合性外傷)。また、奥歯がかみ合っていると顎関節に過剰な力が加わり顎関節症を発症する恐れがあります。

<参考>

犬歯(糸切り歯)の咬み合わせはとても大切 【album 365】

八重歯を回避して理想的な咬み合わせを誘導するために【album 287】

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顎関節や奥歯に負担がかからない安定した咬み合わせである1級関係で犬歯誘導を達成するために咬合誘導・咬合育成を行っています。

<参考>

過去の症例はこちら

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